2018年12月11日

予約

将来、一定の契約を締結しようとする合意のことを予約という。

予約には、二つの種類があるとされている。
一つは、約束した時期が到来したら、改めて、当事者が合意したうえで、本契約を締結するというもの。
もう一つは、当事者の一方に予約完結権が与えられている場合である。この場合は、本契約締結にあたり、改めて、当事者が合意する必要はなく、予約完結権を有している者が、一方的な意思表示によって、本契約とすることができることになる。

予約完結権が与えられているタイプの予約については、これが不動産登記に関するものであれば、仮登記をすることができる。
例えば、不動産の売買契約の予約をして買主側に予約完結権が与えられているとすれば、予約をした時点での権利を保全するために、所有権移転請求権の仮登記をすることができる。

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申し込みに対する承諾

承諾は、申し込みを受けた者が、申し込みに応諾して、契約を成立させるために、申込者に対してする意思表示のことである。

契約は申し込みに対して承諾した時に成立するのが原則であることは、下記の条文のとおりである。

(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

しかし、申し込みに対して、ハイわかりましたと、単純に応えることは実際の取引では少ない。
何らかの条件をつけてきたり、様々な駆け引きが行われるのが普通であろう。

例えば、Aさんが使っていた中古自転車を処分したいと考えて、知り合いのBさんに一万円で買わないかと持ちかけた。
これに対して、Bさんが、「いや、一万円じゃあ高いだろ。五千円なら買うよ」と答えた。
このような場合、単純に承諾したことにはならない。

ではどう解したらいいのか?
民法には、このような駆け引きが行われた場合を想定して条文が設けられている。次の通り。

(申込みに変更を加えた承諾)
第五百二十八条 承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす。

つまり、設問の事例では、Bさんが申込者の立場に立つことになる。
これに対して、Aさんが、「じゃあ、五千円で売るよ」となれば、契約成立となるが、まだ粘って、「五千円は安い。攻めて七千円で買ってくれ」といえば、やはり、申込みに変更を加えた承諾がなされたことになるので、再び、Aさんが申込者の立場に立つことになる。

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2018年12月10日

申込みの拘束力(撤回することができない場合)

申込みの意思表示をした者が、自らその意思表示に拘束されることもある。
次の条文の通り、承諾の期間を定めて申込みをした場合である。

(承諾の期間の定めのある申込み)
第五百二十三条 承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。


承諾の期間の定めをしなかった場合でも、次の条文の通り、「申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。」とされている。

(承諾の期間の定めのない申込み)
第五百二十五条 承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2 対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。
3 対話者に対してした第一項の申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない。

posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 21:26| 権利関係

意思表示の到達の特殊事例

相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとされる。
第九十七条2項のとおりである。

(意思表示の効力発生時期等)
第九十七条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

また、3項にあるとおり、意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

ただ、承諾の通知については、次の例外規定があるので確認しておこう。

(申込者の死亡等)
第五百二十六条 申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない。



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2018年12月03日

申し込みと承諾の効力発生時期

申し込みと承諾の効力発生時期については、意思表示の効力発生時期に関する原則的な規定による。
次の条文にあるとおり、申し込みと承諾ともに、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
すなわち、到達主義が採用されている。

【改正法】
(意思表示の効力発生時期等)
第九十七条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

なお、旧法では、承諾は、発信主義とされていたが、債権法改正に伴い、この点が改められているので確認しておこう。

※旧法
(隔地者間の契約の成立時期)
第五百二十六条 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
2 申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。

※改正法では、第五百二十六条1項が削除されている。

posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 21:14| 権利関係