2018年10月29日

意思表示

法律行為は意思表示によって、構成される。

契約も法律行為の一種であるが、契約は、申し込みと承諾の意思表示の合致によって成立する。

例えば、売買契約であれば、売主の「売ります」、買主の「買います」という意思表示が合致した時に成立するわけである。

では、その意思表示は、いつ効力を生じるのだろうか。
お店において、売主と買主が「売る」「買う」と言い合っているのであれば、その言葉を発すると同時に、相手にも伝わるから、当然、その時点で効力を生じる。
問題は、売主と買主が、離れた場所にいる場合である。
例えば、ネットで売買する場合は、リアルタイムでやり取りできるとは限らない。
メールでのやり取りだとすれば、当然、相手がチェックしなければ、相手に伝わったことにならない。
買主が、商品をカートに入れてクリックしたとしても、その時点で契約成立とは言えない。売主側に、伝わるまでの間にはどうしても、タイムラグがある。
これについて、民法には次のように定められている。

【改正法】
(意思表示の効力発生時期等)
第九十七条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。とされている。
これを到達主義という。
なお、到達とはどういうことかというと、相手方の支配圏に入った時だと解されている。
メールを送信する場合であれば、相手方のサーバーに届いた時点で到達したと考えて良いだろう。つまり、相手がメールフォルダを開いて文章を読むのを待つまでもないということである。


posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 21:11| 権利関係

意思表示の例外規定

意思表示についての民法の規定は改正されているので確認しておこう。

【改正法】
(意思表示の効力発生時期等)
第九十七条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。」これが原則である。
売買契約の場合であれば、買主の買いますという意思表示も、売主の売りますという意思表示も、相手方に到達した時からその効力を生ずる。

例外が、第五百二十六条以下にさだめられている。

【改正法】
(申込者の死亡等)
第五百二十六条 申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない。


申込者が申込みの通知を発した後に死亡したとしても、原則として、その意思表示に影響がないのは、第九十七条3項にあるとおりである。
ただ、例外があることが、第五百二十六条に定められている。

1、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき
2、その相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったとき

である。

posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 21:24| 権利関係

2018年11月03日

心裡留保、意思の不存在


心裡留保とは、嘘や冗談のように、自分の真意ではないことを知りながら、あえて、意思表示する場合のことを言う。

土地を買うつもりはないのに、「買います」というような場合である。

この場合、相手方としては、その人が頭の中で考えていることを正確に把握できるわけではない。その人の言葉を信用するのが通常であるから、相手方を保護するという意味でも、「買います」と言う意思表示は有効となる。

しかし、相手方も、その人が嘘とか冗談で言っていることを察することができた場合ーー悪意の場合。
あるいは、注意すれば、相手方も、その人が嘘とか冗談で言っていることを察することができただろう場合ーー過失の場合。
は、相手方を保護する必要性がなくなるので、無効となる。

なお、無効となる場合、相手方と更に取引した第三者に対しても、無効を主張できるのかという問題がある。
無効な行為は、本来誰に対しても主張できるはずである。
しかし、このような事由によって、無効とされたのでは、第三者が不測の損害を被りかねない。
そこで、心理留保によって、取引が無効となることを知らない第三者に対しては、無効であることを主張できないとされている。

※なお、心理留保の条文は改正されているが、善意の第三者の項目が追加されただけで、従来の考え方と同じである。

【改正法】
(心裡留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 04:23| 権利関係