2018年10月23日

制限行為能力における追認

取り消すことができるということは、制限行為能力者にとっては、メリットであるが、一方で、いつまでも、その契約が不安定な状態にあることを意味する。
例えば、未成年者が契約した場合、法定代理人が取り消しうるわけで、取り消しうる間は、契約した未成年者としても、心が休まらない。
その契約を取り消す必要がない。あるいは取り消したくないと考えている場合は、追認することによって、契約を完全なものにすることができる。
民法には次のように定められている。

(取り消すことができる行為の追認)
第百二十二条 取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。

追認は取消権放棄の意思表示ということができる。
この意思表示をすることができる者は、第百二十条に規定する者に限られる。

第百二十条に規定する者とは次の通り。

(取消権者)
第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2 錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。

制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者である。

なお、制限行為能力者自身が追認するには、次の要件を満たさなければならない。

(追認の要件)
第百二十四条 取り消すことができる行為の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない。
2 次に掲げる場合には、前項の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にすることを要しない。
一 法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をするとき。
二 制限行為能力者(成年被後見人を除く。)が法定代理人、保佐人又は補助人の同意を得て追認をするとき。

この条文でチェックしておきたいことは、成年被後見人は、成年後見人の同意を得たとしても、成年被後見人である間は、自ら追認することはできないということである。

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成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可

成年後見人が、成年被後見人の居住用不動産の処分をする場合には、家庭裁判所の許可を得なければならない。とされている。
次の条文の通り。

(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
第八百五十九条の三 成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

成年被後見人の住居に関することであるから、慎重に行う必要があるからである。
ここで注意しておきたいことは、家庭裁判所の許可が必要なのは、成年被後見人の居住用不動産に限るということである。
たとえば、成年被後見人が所有する投資物件の処分については、家庭裁判所の許可を得る必要はない。

なお、家庭裁判所の許可を得ないで、居住用不動産を処分した場合は、無効と解されている。

この規定は、保佐人、補助人にも準用されている。条文をチェックしておこう。

(保佐の事務及び保佐人の任務の終了等)
第八百七十六条の五 保佐人は、保佐の事務を行うに当たっては、被保佐人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
2 第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条及び第八百六十三条の規定は保佐の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は保佐人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人を代表する場合について準用する。
3 第六百五十四条、第六百五十五条、第八百七十条、第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は保佐人の任務が終了した場合について、第八百三十二条の規定は保佐人又は保佐監督人と被保佐人との間において保佐に関して生じた債権について準用する。


(補助の事務及び補助人の任務の終了等)
第八百七十六条の十 第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条、第八百六十三条及び第八百七十六条の五第一項の規定は補助の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は補助人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被補助人を代表する場合について準用する。
2 第六百五十四条、第六百五十五条、第八百七十条、第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は補助人の任務が終了した場合について、第八百三十二条の規定は補助人又は補助監督人と被補助人との間において補助に関して生じた債権について準用する。

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2018年10月24日

制限行為能力者の相手方の催告権

制限行為能力者の相手方は、制限行為能力者と取引した後不安定な立場に立たされたままなのだろうか。
例えば、法定代理人が追認してくれるか、あるいは、取り消してくるかと、ビクビクしていなければならないのだろうか?

もちろんそんなことはない。
制限行為能力者の相手方にも、その不安定な状況から自ら脱するための手段が用意されている。
催告権である。
次のとおりである。

(制限行為能力者の相手方の催告権)
第二十条 制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
3 特別の方式を要する行為については、前二項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
4 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。


この制度のポイントは、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ、その期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。ことができる点にある。

その相手方は、
1、法定代理人、保佐人又は補助人
2、制限行為能力者だった者が行為能力者となった場合は、その者
である点を押さえよう。

つまり、未成年者や成年被後見人に催告しても意味はない。

一方、被保佐人や被補助人に対しては、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。
そして、その期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなされる。


posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 21:48| 権利関係