2020年07月23日

宅建士試験過去問 権利関係 対抗問題 2−56 平成20年

所有権がAからBに移転している旨が登記されている甲土地の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。



1、CはBとの間で売買契約を締結して、所有権移転登記をしたが、甲土地の真の所有者はAであって、Bが各種の書類を偽造して自らに登記を移していた場合、Aは所有者であることをCに対して主張できる。

2、DはBとの間で売買契約を締結したが、AB間の所有権移転登記はAとBが通じてした仮装の売買契約に基づくものであった場合、DがAB間の売買契約を知らず、知らないことに無過失であっても、Dが所有権移転登記を備えていなければ、Aは所有者であることをDに対して主張できる。

3、EはBとの間で売買契約を締結したが、BE間の売買契約締結前にAがBの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除していた場合、Aが解除した旨の登記をしたか否かにかかわらず、Aは所有者であることをEに対して主張できる。

4、FはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、その後、AはBの強迫を理由にAB間の売買契約を取消した場合、FがBによる強迫を知っていた時に限り、Aは所有者であることをFに対して主張できる。







胡桃「これも対抗問題に関する論点を寄せ集めにした問題だわね。もちろん、どの選択肢も基本的な問題だから、容易く正答できるわね」

建太郎「うん。確かに簡単だな。宅建の問題が、どれもこれくらいの難易度だったらいいのになあ」

胡桃「前にも言ったけど、問題が簡単だということは合格ラインが上がるということよ」

建太郎「それは困る!」




胡桃「まず、1は何の問題か分かるわね」

建太郎「登記の公信力の問題だよな。真実の権利関係と異なる登記が為されていた場合、それを信用して取引した者は権利を取得できるのかどうかという問題。動産の場合は、占有に対して公信力があるとされている」



(即時取得)

第百九十二条  取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。



建太郎「動産は、即時取得することができるけど、不動産の場合は、登記を信頼して取引しても、真実の権利と違う場合は、権利を取得できない。つまり、登記には公信力がないとされている」

胡桃「その通りよ。不動産登記制度の基本だから、しっかり押さえておいてね。2はどうかしら?」

建太郎「民法94条2項の虚偽表示の問題だよな」



(虚偽表示)

第九十四条  相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。

2  前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。



建太郎「AB間の売買契約は、虚偽表示だから、本来無効だけども、Aは、AB間の売買契約を知らず、知らないことに無過失のD、つまり、善意のDに対しては、無効であることを主張できない」

胡桃「そうね。問題は、善意のDが登記を備えていなくても、保護されるのかだけど?」

建太郎「判例によれば、善意のDは登記を備えていなくても、保護されるんだよな」

胡桃「正解よ。3はどうかしら?」

建太郎「契約解除と第三者との関係についての問題だよな」



(解除の効果)

第五百四十五条  当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。

2  前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。

3  解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。



建太郎「契約解除前に、既に第三者に対して権利を移転していた場合は、第五百四十五条但書によって、所有権を主張することができなくなる」

胡桃「第三者が登記を備えていなかったとしてもかしら?」

建太郎「いや、第三者が登記を備えていない場合は、契約解除を主張することができるんだよな。つまり、第三者は、権利保護要件としての登記を備えていなければならないとされている」

胡桃「じゃあ、解除後の第三者との関係はどうなるかしら?」

建太郎「選択肢3の事例で言えば、Bを起点にして、契約解除によるAへの所有権の移転と、売買契約によるEへの所有権の移転が対抗関係になるんだよな」



(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。



建太郎「177条の対抗問題になるから、先に登記を備えた方が、権利を取得することになる。つまり、Aは所有者であることをEに対して主張するには登記を有していなければならない」

胡桃「その通りよ。4はどうかしら?」

建太郎「96条の問題だよな」



(詐欺又は強迫)

第九十六条  詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

2  相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

3  前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。



建太郎「詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができないとされているけど、強迫についてはそのような規定はない。つまり、強迫による意思表示の取消は、善意の第三者に対しても対抗することができる。つまり、Fが強迫を知らなかったとしても、Aは所有者であることをFに対して主張できる」

胡桃「その通りよ。というわけで答えは?」

建太郎「1だね」





宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 1 暗記カード式法律問題集

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宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係・法令上の制限編 4  暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 法令上の制限編 5  暗記カード式法律問題集


□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。


posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:40| 宅建士試験過去問