2020年07月22日

宅建士試験過去問 権利関係 対抗問題 2−55 平成24年

A所有の甲土地についての所有権移転登記と権利の主張に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。



1、甲土地につき、時効により、所有権を取得したBは、時効完成前にAから甲土地を購入して所有権移転登記を備えたCに対して、時効による所有権の取得を主張することができない。

2、甲土地の賃借人であるDが甲土地上に登記ある建物を有する場合に、Aから甲土地を購入したEは、所有権移転登記を備えていない時であっても、Dに対して、自らが賃貸人であることを主張することができる。

3、Aが甲土地をFとGに二重に譲渡してFが所有権移転登記を備えた場合に、AG間の売買契約の方がAF間の売買契約よりも先に為されていたことをGが立証出来れば、Gは登記がなくても、Fに対して、自らが所有者であることを主張することができる。

4、Aが甲土地をHとIとに対して二重に譲渡した場合において、Hが所有権移転登記を備えていない間にIが甲土地を善意のJに譲渡して、Jが所有権移転登記を備えた時は、Iがいわゆる背信的悪意者であっても、Hは、Jに対して、自らが所有者であることを主張することができない。







胡桃「この問題が、何の問題かは分かるわね?」

建太郎「民法177条の対抗問題だよな」

胡桃「いずれも基本的な選択肢だから、確実に正解したい問題だわ」
胡桃「まず、条文を確認しておくわよ」



民法

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。



胡桃「この条文は、寝言でも言えるくらいに頭に叩き込んでよね。まず、1から」

建太郎「不動産を時効取得した者は、元の所有者に対しては、登記なくして、所有権を主張できるんだよな。1のように、時効完成前にA、Cが売買していたとしても、やはり、新しい所有者Cに対しても、Bは、登記なくして、所有権を主張できる。なぜなら、A、CとBは登記が不要な当事者の関係にあるからだよな」

胡桃「そうね。2はどうかしら?」

建太郎「まず、Dは、甲土地上に登記ある建物を有しているから、新しい所有者であるEに対しても対抗できるのは当然だよな」



(借地権の対抗力等)

第十条  借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

2  前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

3  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条第一項 及び第三項 の規定は、前二項の規定により第三者に対抗することができる借地権の目的である土地が売買の目的物である場合に準用する。

4  民法第五百三十三条 の規定は、前項の場合に準用する。



胡桃「そうね。問題は、所有者であるEは登記を備えていなければ、Dに対して、賃貸人であることを主張できないのか?ということだけど、どうかしら?」

建太郎「当然、登記は必要だろう。そうでなければ、Dとしては、誰に対して地代を支払えばいいのか分からないからね」

胡桃「そうね。判例も賃貸人であることを主張するには、所有権移転登記を備えなければならないとしているわ。次、3はどうかしら?」

建太郎「二重譲渡が為された場合は、どちらの契約が先かじゃなくて、先に登記を備えた方が優先するんだよな選択肢3のようなことを認めていたら、民法177条の意味が無くなる」

胡桃「その通りね。4はどうかしら?」

建太郎「民法177条の規定は。絶対の制度ではなくて、背信的悪意者に対しては、登記なくしても対抗できるのが判例だよな。ただ、背信的悪意者からの転得者がいる場合や背信的悪意者の前に善意の第三者が有効に取得してその権利を承継している場合は、もはや、背信的悪意者が絡んでいたとしても、登記なくして対抗できなくなる」

胡桃「そうね。背信的悪意者からの転得者がいる場合というのが、選択肢4のようなケースね。もしも、Iが背信的悪意者であることを理由に、Hが、登記なくして、Jに対して、自らが所有者であることを主張することができるとすれば、善意のJが害されることになるわね」

建太郎「うん。分かるよ」

胡桃「というわけで、答えはどれかしら?」

建太郎「4だね」



宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 1 暗記カード式法律問題集

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宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 法令上の制限編 5  暗記カード式法律問題集


□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。


posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:05| 宅建士試験過去問