2020年07月15日

宅建士試験過去問 権利関係 借地権 2−50 平成28年

Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めて、Bから乙土地を賃借した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、Aは借地権登記を備えてないものとする。



1、Aが甲建物を所有していても、建物保存登記をAの子C名義で備えている場合には、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたDに対して、Aは借地権を対抗することができない。

2、Aが甲建物を所有していても、登記上の建物の所在地番、床面積等が少しでも、実際のものと相違している場合には、建物の同一性が否定されるようなものでなくても、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたEに対して、Aは借地権を対抗することができない。

3、AB間の賃貸借契約を公正証書で行えば、当該契約の更新がなく、期間満了により、終了し、終了時には、Aが甲建物を収去すべき旨を有効に規定することができる。

4、Aが地代を支払わなかったことを理由として、Bが乙土地の賃貸借契約を解除した場合、契約に特段の定めがない時は、Bは、甲建物を時価で買い取らなければならない。







胡桃「これは簡単な問題だわね」

建太郎「うん。よく分からない選択肢もあるけど、とりあえず、正解は分かるな」

胡桃「基本を押さえることが大切だということがよく分かる問題ね。というわけで、1から見ていくわよ」

胡桃「1は何の問題か分かるわね?」

建太郎「借地権の対抗要件の問題たね」



(借地権の対抗力等)

第十条  借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

2  前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

3  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条第一項 及び第三項 の規定は、前二項の規定により第三者に対抗することができる借地権の目的である土地が売買の目的物である場合に準用する。

4  民法第五百三十三条 の規定は、前項の場合に準用する。



※民法

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)

第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。

3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。



(同時履行の抗弁)

第五百三十三条  双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。



建太郎「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。とされている。ここで問題になるのが、建物の登記はどこまで為されていれば、いいのか?誰の名義で為されていればいいのか?だったな」

胡桃「そうよ。どう考えるべきかしら?」

建太郎「判例によれば、建物の表示の登記が為されていれば足りるんだよな。ただ、建物の登記名義人が契約当事者ではなくて、家族名義の時は、対抗力がないとされていたね」

胡桃「その通りよ。次、2はどうかしら?」

建太郎「これはよく分からないんだけど、常識で考えて、同一性が確認できればいいんじゃない?」

胡桃「そうね。これは判例だから、そのまま覚えてね。建物の同一性が認められれば、登記上の建物の所在地番、床面積等が現状と相違していても問題ないとされているわ」

建太郎「うん。やっぱりそうだろうな」

胡桃「3はどうかしら?」

建太郎「定期借地権の問題だよな」



(定期借地権)

第二十二条  存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。



建太郎「定期借地権は、存続期間を五十年以上とした場合のみ設定できる。設問では、期間30年だから、定期借地権は設定できないね」

胡桃「その通りよ。五十年以上という数字を押さえてね。それから、定期借地権の場合は、第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる点も押さえておいてね」

建太郎「うん。第十三条だな」



(建物買取請求権)

第十三条  借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

2  前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。

3  前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。



胡桃「そうよ。4はどうかしら?」

建太郎「第十三条の規定の問題だよな。ただ、地代を支払わなかったことを理由に賃貸借契約を解除する場合も建物を買い取れって、おかしくないか?」

胡桃「そうよね。判例も、借地権設定者が借地権者の債務不履行により賃貸借契約を解除した場合、買取請求権は認められない。としているわ」

建太郎「やっぱりそうだよな」

胡桃「というわけで答えは?」

建太郎「1だね」



宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




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□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。
posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:39| 宅建士試験過去問