2020年07月14日

宅建士試験過去問 権利関係 借地権 2−49 平成26年

甲土地の所有者が甲土地につき、建物の所有を目的として、賃貸借する場合(以下、ケース1とする)と、建物の所有を目的とせずに、資材置き場として賃貸する場合(ケース2とする)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。



1、賃貸借の存続期間を40年と定めた場合には、ケース1では、書面で締結しなければ、期間が30年となってしまうのに対し、ケース2では、口頭による合意であっても、期間は40年となる。

2、ケース1では、賃借人は、甲土地の上に登記されている建物を所有している場合には、甲土地が第三者に売却されても、賃借人であることを当該第三者に対抗できるが、ケース2では、甲土地が第三者に売却された場合に、賃借人であることを当該第三者に対抗する方法はない。

3、期間を定めない契約を締結した後に賃貸人が甲土地を使用する事情が生じた場合において、ケース1では、賃貸人が解約の申し入れをしても合意がなければ、契約が終了しないのに対して、ケース2では、賃貸人が解約の申し入れをすれば、契約は申し入れの日から一年を経過することによって終了する。

4、賃貸借の期間を定めた場合であって、当事者が期間内に解約する権利を留保していない時、ケース1では、賃借人側は期間内であっても一年前に予告することで、中途解約することができるのに対して、ケース2では、賃貸人も賃借人もいつでも一方的に中途解約できる。







胡桃「この問題の出題意図は分かるわね?」

建太郎「つまり、借地借家法が適用される場合と民法上の賃貸借契約の場合の比較だよな」

胡桃「そうよ。それが理解できていれば、簡単に解けるわね」

建太郎「いや、簡単じゃないよ」

胡桃「そうかしら、条文レベルの問題だわ」
胡桃「ケース1とケース2。どっちが借地借家法が適用されるか分かるわね?」

建太郎「ケース1だな。借地権とは建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。とされているからな」



借地借家法

(定義)

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一  借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。

二  借地権者 借地権を有する者をいう。

三  借地権設定者 借地権者に対して借地権を設定している者をいう。

四  転借地権 建物の所有を目的とする土地の賃借権で借地権者が設定しているものをいう。

五  転借地権者 転借地権を有する者をいう。



胡桃「それに対して、ケース2は、建物の所有を目的としていないから、民法上の賃貸借契約になるということね。それを踏まえたうえで、1から見ていくわよ」

建太郎「めちゃめちゃなことが書かれているよな。全部間違い」

胡桃「じゃあ、正しくはどうなるのかしら?」

建太郎「借地借家法では、借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。とされているね。ケース1では、40年と定めた場合には、40年とされる。書面で締結するかどうかは問わない」



借地借家法

(借地権の存続期間)

第三条  借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。



胡桃「それに対して民法上の賃貸借の場合は?」

建太郎「二十年が限度だね。二十年を超えた場合は、二十年とされてしまう」



民法

(賃貸借の存続期間)

第六百四条  賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする。

2  賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から二十年を超えることができない。



胡桃「そのとおりね。じゃあ、2はどうかしら?」

建太郎「借地権の対抗力の問題だな」



借地借家法

(借地権の対抗力等)

第十条  借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

2  前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

3  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条第一項 及び第三項 の規定は、前二項の規定により第三者に対抗することができる借地権の目的である土地が売買の目的物である場合に準用する。

4  民法第五百三十三条 の規定は、前項の場合に準用する。



※(地上権等がある場合等における売主の担保責任)

第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。

3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。



※(同時履行の抗弁)

第五百三十三条  双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。



建太郎「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。とされているね。つまり、ケース1では、対抗できる」

胡桃「ケース2はどうかしら?」

建太郎「対抗する方法がないわけではないよな。登記すれば、対抗することはできる」



民法

(不動産賃貸借の対抗力)

第六百五条  不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。



胡桃「そのとおりね。3はどうかしら?」

建太郎「賃貸人が、解約の申し入れができるかどうかの問題だな。借地借家法では、賃貸人から解約の申し入れをすることができな。更新拒絶の場合でも、正答な事由が必要になる」



借地借家法

(借地契約の更新請求等)

第五条  借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。

2  借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。

3  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。



(借地契約の更新拒絶の要件)

第六条  前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。



胡桃「つまり、ケース1では、賃貸人が解約の申し入れをしても合意がなければ、契約が終了しないということね。ケース2はどうかしら?」

建太郎「期間の定めがなければ、ついでも解約できるんだよな。それに一定期間を経過することで終了する」



民法

(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)

第六百十七条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。

一  土地の賃貸借 一年

二  建物の賃貸借 三箇月

三  動産及び貸席の賃貸借 一日

2  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。



建太郎「土地の賃貸借の場合は一年だな」

胡桃「そうね。4はどうかしら」

建太郎「期間の定めのある賃貸借で、解約をする権利を留保していないということは、期間に縛られて、解約できないという意味だよな?」

胡桃「そうよ」

建太郎「だったら、賃貸人からも賃借人からも中途解約できないんじゃないの?ケース1だろうとケース2だろうとさ」

胡桃「条文の根拠は?」

建太郎「条文は……分からない」

胡桃「次の規定よ」



民法

(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)

第六百十八条  当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。



胡桃「逆にいえば、解約をする権利を留保していない場合は、第六百十七条の規定が適用されないということよ」

建太郎「なるほど、反対解釈するんだな。借地借家法には、この規定はないのか?」

胡桃「ないわ。ということは、民法の原則通りということよ」

建太郎「なるほど」

胡桃「というわけで答えは?」

建太郎「3だね」






宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




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□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。


posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:14| 宅建士試験過去問