2020年07月06日

宅建士試験過去問 権利関係 占有 2−44 平成27年

占有に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1、甲建物の所有者Aが甲建物の隣家に居住し、甲建物の裏口を常に監視して、第三者の侵入を制止していたとしても、甲建物に錠をかけてその鍵を所持しない限り、Aが甲建物を占有しているとは言えない。
2、乙土地の所有者の相続人Bが乙土地上の建物に居住しているCに対して、乙土地の明渡しを求めた場合、Cは、占有者が占有物について行使する権利は、適法であるとの推定規定を根拠として、明渡を拒否することができる。
3、丙土地の占有を代理しているDは、丙土地の占有が第三者に妨害された場合には、第三者に対して占有保持の訴えを提起することができる。
4、占有回収の訴えは、占有を侵害した者及びその特定承継人に対して当然に提起することができる。



建太郎「なんだこの問題は!鍵を所持していなければ、だめかどうかって、細かすぎるだろ!」
胡桃「確かに細かい選択肢もあるけど、条文レベルの問題よ」
建太郎「問題文は短いけど、訳の分からない選択肢もあるよ」
胡桃「だとしたら勉強不足だわ。もう一度テキストを読み直しなさいよね」胡桃「まず、1の選択肢で問われていることは、Aが甲建物を占有していると言えるかどうかということね」
建太郎「Aが甲建物の所有者なんだろ?住んでいなくても、甲建物を管理しているなら、占有していると見ていいんじゃないの?そもそも、所有者という時点で、鍵をかけているかどうかなんてどうでもいいじゃん?」
胡桃「とりあえず、これは判例だから、覚えておいてね。家屋の所有者が家屋に錠をかけて、鍵を所持していなかったとしても、その家屋の隣地に居住して、常に出入り口を監視して容易に他人の侵入を制止できる状況にあれば、所有者は家屋を所持するものと言えるとしているわ」
建太郎「うーん。細かすぎるなあ……」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「意味不明。これは何の問題なんだ?」
胡桃「民法の第百八十八条よ」

(占有物について行使する権利の適法の推定)
第百八十八条  占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。

胡桃「Cがこの規定を援用することができるかどうかを問う問題なのよ」
建太郎「そもそも、Cは権限があって占有しているのかどうかはっきりしないじゃん。賃貸借契約を結んでいたのか?それとも、不法占拠なのか?」
胡桃「そう。そこがポイントなのよ。他人の不動産を占有している人は、適法な権限――正権原――があることを立証できなければならないのよ。つまり、Cには、正権原についての立証責任があるのね」
建太郎「うん?例えば、乙土地の所有者と賃貸借契約を結んでいたというようなことを立証しろということだよな?」
胡桃「だから、第百八十八条の推定規定を使って、言い逃れすることはできませんよ。というのが判例なのよ」
建太郎「つまり、Cは、第百八十八条を援用することができないと。賃貸借契約書などを示して立証しろというわけだな」
胡桃「そうよ。理解できたかしら?」
建太郎「うん。何となく分かった」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「占有代理人でも、占有訴権があると考えるべきじゃないの?」
胡桃「そうね。占有訴権を行使できるのは、占有者本人だけではないわ」

(占有の訴え)
第百九十七条  占有者は、次条から第二百二条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。他人のために占有をする者も、同様とする。

建太郎「他人のために占有をする者も、同様とする。と、はっきり書かれているな」
胡桃「ちなみに、占有の訴えって三つあるけど、何と何と何か分かるわね?」
建太郎「ええっと……。占有保持の訴え、占有保全の訴え、占有回収の訴えか」

(占有保持の訴え)
第百九十八条  占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。

(占有保全の訴え)
第百九十九条  占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。

(占有回収の訴え)
第二百条  占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
2  占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。

胡桃「そうね。三つの訴えがどういう訴えなのか確認しておいてね。重要なのは、占有回収の訴えね。2項よ」
建太郎「占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができないということか。つまり、占有を侵奪した者から、買い取った第三者に対しては、訴えを提起できないと?」
胡桃「そうよ。ちなみに、特定承継人というのは、買主だけでなくて、賃借人も含むとされているわ」
建太郎「うん。それから、買主や賃借人が侵奪の事実を知っていたときは、占有者はその人たちに対しても、占有回収の訴えを提起できるんだな」
胡桃「但書ね。この条文が理解できれば、選択肢4は簡単ね」
建太郎「なるほど。条文レベルなんだな」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「3なんだな」



宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 1 暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 2 暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 3 暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係・法令上の制限編 4  暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 法令上の制限編 5  暗記カード式法律問題集


□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。




posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:14| 宅建士試験過去問