2020年05月19日

宅建士試験過去問 権利関係 不法行為 2−43 平成26年

不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

1、不法行為による損害賠償請求権の期間の制限を定める民法第724条における、被害者が損害を知った時とは、被害者が損害の発生を現実に認識した時をいう。
2、不法行為による損害賠償請求債務の不履行に基づく遅延損害金債権は、当該債権が発生した時から10年間行使しないことにより、時効によって消滅する。
3、不法占拠により、日々発生する損害については、加害行為が終わった時から、一括して消滅時効が進行し、日々発生する損害を知った時から、別個に消滅時効が進行することはない。
4、不法行為の加害者が海外に在住している間は、民法第724条後段の20年の時効期間は進行しない。



胡桃「これは、基本的な判例の知識を問う問題だわね」
建太郎「基本か?見たことのない選択肢ばっかりだけど?」
胡桃「そうだとしても常識で解ける問題ばかりよ。まず、民法第724条の条文から見ていくわよ」(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

胡桃「ここで確認しておきたいことは、消滅時効の起算点はいつかということね」
建太郎「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時。つまり、損害の発生だけでなく、加害者が誰なのかを知った時から進行するということだよな。後は、損害賠償請求するだけという段階に達してから、消滅時効が進行する」
胡桃「そうね。じゃあ、不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。とあるのは、どう解釈すべきかしら?」
建太郎「除斥期間だよな。不法行為の時から二十年を経過したら、もはや、損害賠償請求をすることができなくなる」
胡桃「そのことが分かっていれば、選択肢4の正誤が判断できるわね」
建太郎「加害者が海外に在住していたとしても、消滅時効は進行するんだ?」
胡桃「当然よ」
建太郎「でも、刑法だと、海外に逃亡している間は時効が停止するんじゃなかった?」
胡桃「それは刑法の場合ね。刑事訴訟法に次の規定があるわ」

刑事訴訟法
第二百五十五条  犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。
○2  犯人が国外にいること又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつたことの証明に必要な事項は、裁判所の規則でこれを定める。

胡桃「でも、民事ではこのような規定は定められていないし、なにより、二十年の期間は除斥期間なんだから、加害者がどこにいるかは関係ないわ」
建太郎「なるほど、そういうことなんだな」
胡桃「それを踏まえたうえで、1から見ていくわよ」
建太郎「うん。1はその通りでいいんじゃないの?」
胡桃「判例だからそのまま覚えてね。被害者が損害の発生を現実に認識した時をいう。つまり、損害の発生の事実を知ることであって、損害の程度や額を知る必要はないということよ」
建太郎「うん。額がどれだけになるかは計算しないと分からないもんな」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「遅延損害金は、消滅時効が十年になるとすると、第七百二十四条の規定の意味が無くならない?」
胡桃「そうね。判例も、不法行為による損害賠償請求債務の不履行に基づく遅延損害金債権も、第七百二十四条の規定が適用されるとしているわ。つまり、三年間の消滅時効にかかるということよ」
建太郎「やっぱり、そうだよな」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「別個に消滅時効が進行するとすると、法律関係が複雑にならない?だから、加害行為が終わった時から、一括して消滅時効が進行するというのでいいんじゃないの?」
胡桃「実はそうじゃないのよ。不法占拠のような継続的不法行為については、その行為により、日々発生する損害について、被害者がその各損害を知った時から、別個に消滅時効が進行するとされているわ。これは判例だからそのまま覚えるしかないわ」
建太郎「ふむふむ……。継続的不法行為だな」
胡桃「というわけで答えがどれか分かったわね?」
建太郎「ええっと。1ということになるのかな?」
胡桃「そうよ」


宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 1 暗記カード式法律問題集

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宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 法令上の制限編 5  暗記カード式法律問題集


□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。


posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:37| 宅建士試験過去問