2020年03月31日

宅建士試験過去問 権利関係 相続 2−39 平成23年

AがBから事業のために1000万円借り入れている場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1、AとBが婚姻した場合、AのBに対する借入金債務は混同により消滅する。
2、AがCと養子縁組した場合、CはAのBに対する借入金債務について、Aと連帯してその責任を負う。
3、Aが死亡して、相続人であるDとEにおいて、Aの唯一の資産である不動産をDが相続する旨の遺産分割協議が成立した場合、相続債務につき、特に定めがなくても、Bに対する借入金返済債務のすべてをDが相続することになる。
4、Aが死亡し、唯一の相続人であるFが相続の単純承認をすると、FがBに対する借入金債務の存在を知らなかったとしても、Fは、当該借入金債務を相続する。



胡桃「これも簡単すぎるわね」
建太郎「簡単すぎて、これが正解でいいのかどうか、不安になるよな。常識でも解けてしまうよな」
胡桃「このレベルの問題で失点すると、合格は難しくなるわ。心してかかるのよ」
建太郎「OK」
胡桃「まず、1から、混同って何かしら?」
建太郎「債務の弁済方法の一つだったよな」

第五款 混同
第五百二十条  債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。

建太郎「例えば、債権者を債務者が相続したような場合に、混同によって、債権が消滅するんだよな」
胡桃「設問の場合はどう考えるべきかしら?」
建太郎「債権者と債務者が結婚したって、同一人になるわけじゃないから、債権・債務は消滅しないよな。民法にも夫婦の財産は別だとはっきり書かれているね」

(夫婦間における財産の帰属)
第七百六十二条  夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2  夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

胡桃「そうよ。当然、私が建太郎に対して貸し付けているお金も、仮に私たちが結婚したとしても、消滅しないわ。常識でも分かるわね」
建太郎「うん。えっ?なになに?胡桃、俺と結婚してくれるの?」
胡桃「たとえ話よ!次、2にいくわよ!」
建太郎「養子縁組によって、養子縁組した者同士が他方の債務について、連帯債務者になるという規定はないよな。養子に限らず、実の親子同士でも、親の債務を子が連帯して責任を負うなんて言う話はない」
胡桃「そうね。どうしてこんな常識的なことを宅建試験に出題する気になったのかよく分からないわね。3はどうかしら?」
建太郎「遺産分割協議では、資産だけでなく、債務についても、誰が相続するかを決めるんだよな。選択肢3では、資産である不動産については、Dが相続することとしているけど、債務は誰が相続するかは決めていないと読める。だから、民法の原則通りになるんだよな」

(共同相続の効力)
第八百九十八条  相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
第八百九十九条  各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。

建太郎「つまり、債務については、DとEがその相続分に応じて承継することになる」
胡桃「違うわよ!大きな勘違いをしているわよ!」
建太郎「えっ?違うの?」
胡桃「債務は遺産分割協議で分割できるわけではないのよ。債務の相続に関しては、次の判例を押さえておいてよね。
『債務者が死亡し、相続人が数人ある場合、被相続人の金銭その他の可分債務は、法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継する』とされているわ」
建太郎「債務は遺産分割できないんだ?」
胡桃「そうよ。債務は自動的に、各共同相続人がその相続分に応じて承継することになるのよ。相続の基本よ。押さえておいてよね」
建太郎「でもさあ、そうすると、資産を相続していないEは、自分の財産の中から、Aの債務を弁済しなければならないことになりかねないよな?」
胡桃「そうよね。設問みたいに、Aの唯一の資産である不動産を相続したDが、債務についても、すべて、引き受けるという形にしたければ、債権者であるBと話し合いをすることになるのよ。『免責的債務引受』という契約ね。BがDのみを債務者とすることを認めれば、免責的債務引受が成立して、Eは債務を免れることになるわ」
建太郎「なるほど、免責的債務引受ってそういう場合に利用するんだな」
胡桃「理解できたかしら?」
建太郎「OK」
胡桃「それから、設問のような事例で、Eが債務を相続しないようにするためにはもうひとつ方法があるわ。何か分かるかしら?」
建太郎「どうせ資産を相続しないなら、いっそのこと、相続放棄をしてしまえということ?」

(相続の放棄の効力)
第九百三十九条  相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

建太郎「相続放棄すれば、債務を承継することもないよな。債権者であるBが承諾するかどうかも関係ない」
胡桃「そうよ。相続放棄に関しては、方式を押さえておいてね。単に相続分がないことの証明書に署名したとしても、意味がないのよ。家庭裁判所に申述しなければならないということね」

(相続の放棄の方式)
第九百三十八条  相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

建太郎「OK」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「その通りでいいんじゃない。単純承認しているわけだから、資産のみならず、負債も相続することになる」

(単純承認の効力)
第九百二十条  相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

(相続の一般的効力)
第八百九十六条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

胡桃「その通りだわ。解説するまでもないわね。というわけで答えは?」
建太郎「4だね」




宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




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□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。

posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:28| 宅建士試験過去問