2020年03月30日

宅建士試験過去問 権利関係 相続 2−38 平成25年

婚姻中の夫婦AB間には嫡出子CとDがいて、Dは既に婚姻しており嫡出子Eがいたところ、Dは平成25年10月1日に死亡した。他方、Aには離婚歴があり、前の配偶者との間の嫡出子Fがいる。Aが平成25年10月2日に死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

1、Aが死亡した場合の法定相続分は、Bが二分の一、Cが五分の一、Eが五分の一、Fが十分の一である。
2、Aが生前、A所有の全財産のうち、甲土地について、Cに相続させる旨の遺言をしていた場合には、特段の事情がないがない限り、遺産分割の方法が指定されたものとして、Cは甲土地の所有権を取得するのが原則である。
3、Aが生前、A所有の全財産について、Dに相続させる旨の遺言をしていた場合には、特段の事情がない限り、Eは代襲相続により、Aの全財産について、相続するのが原則である。
4、Aが生前、A所有の全財産のうち、甲土地についてFに遺贈する旨の意思表示をしていたとしても、Fは相続人であるので、当該遺贈は無効である。

建太郎「むむっ……。具体的な事例を基にした問題なんだな。事例を把握するのに時間がかかるなあ……」
胡桃「この問題を解く時は、問題用紙の余白に、相続関係図を書き出すことがポイントよ」
建太郎「うん。そうだな。でもそのために時間を食われたら、他の問題を解く問題が無くなる」
胡桃「そんなに複雑な事例じゃないでしょ」
被相続人A 配偶者B

子 C、D(既に死亡)、F

孫 Dの子E

胡桃「こういう関係ね。この場合、法定相続だと、相続分がどうなるか、分かるかしら?」
建太郎「まず、Dについては、代襲相続が発生するんだよな。つまり、Dの子EがDに代わって相続人になる」

民法
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条  被相続人の子は、相続人となる。
2  被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3  前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

※(相続人の欠格事由)
第八百九十一条  次に掲げる者は、相続人となることができない。
一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

胡桃「そうね。すると、法定相続の場合、相続人は、配偶者Bと子C、F。それに、孫のEということになるわね。それぞれの相続分はどれだけになるかしら?」
建太郎「まず、配偶者Bは二分の一だよな。それから残りの二分の一をC、F、Eで等しく分配することになる。計算すると一人当たり、二分の一×三分の一だから、六分の一になるんだな」

(法定相続分)
第九百条  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

(代襲相続人の相続分)
第九百一条  第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
2  前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。

胡桃「そうね。それが分かれば、選択肢1の正誤が判断できるわね」
建太郎「OK」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「うん……。その通りで問題ないんじゃない?」
胡桃「それでは答えになっていないわ。まずは、『Aが生前、A所有の全財産のうち、甲土地について、Cに相続させる旨の遺言』をすること。これは、どういう意味を持つのかしら?」
建太郎「遺産分割の方法の指定でいいんじゃない?」

(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
第九百八条  被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

胡桃「そうね。第九百八条にある通り、被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定めることができるわ。それに次の条文」

(包括遺贈及び特定遺贈)
第九百六十四条  遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。

胡桃「甲土地についてのみ、Cに相続させるという形――特定の遺産を特定の相続人に相続させるという形で指定をすることもできる。とりあえず、これは判例だから覚えてね。このような遺言がある場合は、『特段の事情がない限り、当該遺産を当該相続人に単独相続させる遺産分割の方法が指定されたものと解するべきであり、何らの行為を要せずして、当該遺産は、被相続人の死亡の時に、直ちに相続により承継される』とされているのよ」

(遺言の効力の発生時期)
第九百八十五条  遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2  遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。

建太郎「OK」
胡桃「じゃあ、3はどうかしら?」
建太郎「Aが相続させようとしていたのはDに対してであって、Eじゃないよな。Aが亡くなった時、既に、Dが亡くなっていたわけだから、その遺言は効力が生じないんじゃないかな」
胡桃「その通りよ。判例も、選択肢3のような事例では、代襲相続人に相続させるという旨の意思を有していたとみるべき特段の事情がない限り、その効力を生じないとしているわ」
建太郎「やっぱり、そうだよな。でもこの問題の事例では、Dが死んだのは、Aの一日前なんだよな。Aもまさか、Dが先に死ぬとは思っていなかったんじゃないかな?」
胡桃「人生いつ何か起きるか分からないものよ。遺言書を書き残す場合は、遺言の効力発生時に、遺産を相続させる相手が死亡していた場合も、想定しておくのが一般的なのよ。Eに代襲させたければ、はっきりと書いておくべきなのよ」
建太郎「うーん。そういうものなんだな」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「相続人に対して『相続させる』じゃなくて、『遺贈する』となっていた場合、その遺言が有効どうかが問題なんだよな。つまり、『遺贈』は、本来、相続人ではない人に対してするものなのに、相続人に『遺贈する』ことができるのかということだ」
胡桃「そうね。どう考えるべきかしら?」
建太郎「相続となっていても、遺贈となっていても問題ないんじゃない。どっちにしたって結論は同じでしょ」
胡桃「一般的にはそう説明されているわね。でも、試験問題では法律の根拠を示せなければだめよ。次の条文をチェックして」

(特別受益者の相続分)
第九百三条  共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2  遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3  被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

胡桃「『共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け』とあるでしょ。この条文は、相続人も遺贈を受けることができることが前提になっているのよ。だから、相続人に対する遺贈は有効なのよ」
建太郎「なるほど、そう考えるのか」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「2だね」




宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




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□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。

posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:41| 宅建士試験過去問