2020年03月25日

宅建士試験過去問 権利関係 取得時効 2−36 平成27年

A所有の甲土地を占有しているBによる権利の時効取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1、Bが父から甲土地についての賃借権を相続により承継して賃料を払い続けている場合であっても、相続から20年間、甲土地を占有した時は、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。
2、Bの父が11年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有した後、Bが相続によりその占有を承継し、引き続き、9年間所有の意思をもって平穏かつ公然に占有していても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することはできない。
3、Aから甲土地を買い受けたCが所有権の移転登記を備えた後に、Bについて甲土地所有権の取得時効が完成した場合、BはCに対して、登記がなくても、甲土地の所有者であることを主張することができる。
4、甲土地が農地である場合、BがAと甲土地につき、賃貸借契約を締結して20年以上にわたって、賃料を支払って、継続的に耕作していても、農地法の許可がなければ、Bは、時効によって甲土地の賃借権を取得することはできない。



胡桃「これは、条文、基本的な判例を問う簡単な問題だわ。この問題で間違えていたら、合格は難しいわ」
建太郎「ああ。簡単だな」胡桃「まず、取得時効の要件を確認しておくわよ」

(所有権の取得時効)
第百六十二条  二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2  十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

(所有権以外の財産権の取得時効)
第百六十三条  所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。

建太郎「取得時効の要件は、
1、所有の意思があること。
2、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有すること。
この二つだな。それから、占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは十年間の短期で時効取得する。悪意、善意でも過失があった場合でも、二十年間占有を継続すれば、取得時効の要件を満たすんだよな」
胡桃「そうね。それが分かっていれば、この問題は簡単に解けるわ。まず、1はどうかしら?」
建太郎「賃料を払い続けているとあるから、所有の意思があるとは言えないよな。だから、たとえ、20年間占有したとしても、所有権を時効取得することはできない。取得できるとしたら、賃借権だよな。第百六十三条にある通り、所有権以外の財産権も時効取得できるわけで、賃借権も含まれる」
胡桃「そうね。次、2はどうかしら?」
建太郎「占有の継続というのは、自らの占有だけでなく、相続によりその占有を承継する場合は、合算してもいいんだよな。確か、民法の……」

(相続の一般的効力)
第八百九十六条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

建太郎「この条文が根拠だよな」
胡桃「そうね。設問では、Bの父が占有開始の時に、善意無過失だったかどうかは分からないけど、BとBの父の占有を合算すると20年になるから、取得時効が完成するわね」
建太郎「OK」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「これは判例の出題だよな。Aから甲土地を買い受けたCは、Bから見れば、Cは所有者――当事者であって、民法177条の登記がなければ対抗できない第三者ではない。つまり、Aに対して時効取得を主張するのと同じ。だから、登記なくして、Cに対して、時効取得を主張できる」

※(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

胡桃「その通りだわ。判例の事例そのままの出題だから、覚えてね。次、4はどうかしら?」
建太郎「農地を農地のまま取得する場合は、本来ならば、農地法3条の許可が必要なんだよな。だけど、時効取得する場合は、農地法3条の許可は不要だというのが判例なんだよな」
胡桃「そうね。設問の事例は、農地法3条の許可が必要なケースだけど、農地法5条の許可が必要な場合でも、所有権の時効取得が認められるとした判例もあるわ」
建太郎「農地法5条というと、農地を農地以外に転用して取得する場合だよな」
胡桃「そうよ。いずれも、農地法の許可は不要だと押さえておいてね」
建太郎「OK」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「3だね」



宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 1 暗記カード式法律問題集

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宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係・法令上の制限編 4  暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 法令上の制限編 5  暗記カード式法律問題集


□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。

posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:30| 宅建士試験過去問