2020年03月23日

宅建士試験過去問 権利関係 抵当権・根抵当権 2−35 平成26年

AがBとの間でCのBに対する債務を担保するために、A所有の甲土地に抵当権を設定する場合と根抵当権を設定する場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1、抵当権を設定する場合には、被担保債権を特定しなければならないが、根抵当権を設定する場合には、BC間のあらゆる範囲の不特定の債権を極度額の範囲で被担保債権とすることができる。
2、抵当権を設定した旨を第三者に対抗するには、登記が必要であるが、根抵当権を設定した旨を第三者に対抗するには、登記に加えて、債務者Cの異議を留めない承諾が必要である。
3、Bが抵当権を実行するには、Aは、まず、Cに催告するように請求することができるが、Bが根抵当権を実行する場合には、Aは、まず、Cに催告するように請求することはできない。
4、抵当権の場合には、BはC対する他の債権者の利益のために、抵当権の順位を譲渡することができるが、元本確定前の根抵当権の場合は、Bは、根抵当権の順位を譲渡することができない。



建太郎「うわっ……。なんだこの問題は……。めちゃめちゃ難しくないか?」
胡桃「そうかしら?めちゃめちゃな選択肢もあるけど、抵当権と根抵当権の違いが理解できていれば、難なく正答にたどり着けるわよ。まずは、抵当権と根抵当権の違いから見ていくわよ」建太郎「まず、根抵当権の条文はこれだよな」

(根抵当権)
第三百九十八条の二  抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
2  前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
3  特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権又は手形上若しくは小切手上の請求権は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。

胡桃「本来、抵当権は、特定の債権について設定するのが基本だけど、『設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる』とされている。これが、根抵当権ね。意味は分かるわね?」
建太郎「企業間取引の担保として設定する場合だよな。例えば、商店がメーカーから大量の商品を仕入れる。その代金について、商店の土地建物に担保を設定しようと考えた。抵当権だと、商品を仕入れる毎に抵当権を設定して、代金を弁済したら抹消する。また、商品を仕入れたら、抵当権を設定して、弁済したら抹消ということをやっていかなければならないわけで、それは煩わしい。そこで、継続的な商品の仕入れに関して、一括して抵当権を設定できるようにしたのが、根抵当権だよな」
胡桃「そうね。つまり、根抵当権は、複数の抵当権を設定する煩わしさから解放するための制度だということが分かるわね」
建太郎「OK」
胡桃「そのことが分かっていれば、この問題は簡単に解けるのよ」
建太郎「えっ?そうなの?」
胡桃「そうよ。選択肢を一つ一つ検討して、複数の抵当権を設定する煩わしさから解放するという趣旨から外れているものはどれかを判断すれば、自ずと答えは出てくるわ。もちろん、根抵当権の条文に、一通り、目を通しておいて、条文を根拠に正誤を判断できるのが最も好ましいけどね。というわけで、1から見ていくわよ」
「まず、抵当権の場合は、被担保債権を特定しなければならないというのは正しいよな。それに対して、根抵当権は、『不特定の債権を極度額の範囲で被担保債権とすることができる』というのは、正しいけど、『BC間のあらゆる範囲』というのはおかしいよな。
第三百九十八条の二にある通り、『一定の範囲に属する』と限定されているし、二項でも、『前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。 』とされている」
胡桃「そうね。紛らわしい選択肢だけど、条文を読み込んでいれば、すぐに間違いだと気づくはずよ。2はどうかしら?」
建太郎「抵当権の対抗要件は登記だし、根抵当権の対抗要件だって登記だよな」

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

建太郎「根抵当権を設定した旨を第三者に対抗するには、登記に加えて、債務者Cの異議を留めない承諾が必要である。なんて言う制度はないと思うけど?」
胡桃「そうね。異議を留めない承諾というのは、指名債権の譲渡における債務者の抗弁権に関連することだわ。ついでだから、条文を確認しておいてね」

(指名債権の譲渡の対抗要件)
第四百六十七条  指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2  前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

(指名債権の譲渡における債務者の抗弁)
第四百六十八条  債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。
2  譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。

胡桃「根抵当権には全く関係ない制度だわね。3はどうかしら?」
建太郎「催告の抗弁のことだよな。保証人には、催告の抗弁があったけど、設問のような物上保証人――抵当権設定者には、そんな抗弁権はないよな。もちろん、根抵当権だって同じだ」
胡桃「そうね。他の制度をミックスして出題した選択肢だということが分かるわね。ついでだから、催告の抗弁について再確認しておくわよ」

(催告の抗弁)
第四百五十二条  債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

(検索の抗弁)
第四百五十三条  債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

(連帯保証の場合の特則)
第四百五十四条  保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。

胡桃「催告の抗弁が使えないのは、連帯保証人の場合だったわね。抵当権設定者にはもちろん、こんな抗弁権はないわ。4はどうかしら?」
建太郎「抵当権は処分することができるんだよな」

(抵当権の処分)
第三百七十六条  抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
2  前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。

建太郎「だけど、元本が確定していない根抵当権の場合は、処分することはできないと考えるのが妥当なんじゃないかな?」
胡桃「そうね。権利関係が複雑になってしまうからよね。条文で確認しておくわよ」

(根抵当権の処分)
第三百九十八条の十一  元本の確定前においては、根抵当権者は、第三百七十六条第一項の規定による根抵当権の処分をすることができない。ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。
2  第三百七十七条第二項の規定は、前項ただし書の場合において元本の確定前にした弁済については、適用しない。

※(抵当権の処分の対抗要件)
第三百七十七条  前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
2  主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。

胡桃「というわけで、答えはどれかしら?」
建太郎「4だね」




宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




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□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。
posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:03| 宅建士試験過去問