2020年03月18日

宅建士試験過去問 権利関係 抵当権 2−34 平成27年

債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2000万円)、債権者Cが二番抵当権(債権額2400万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額4000万円)をそれぞれ有しており、Aにはその他に担保権を有しない債権者E(債権額2000万円)がいる。甲土地の競売に基づく売却代金5400万円を配当する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1、BがEの利益のため、抵当権を譲渡した場合、Bの受ける配当は0円である。
2、BがDの利益のため、抵当権の順位を譲渡した場合、Bの受ける配当は800万円である。
3、BがEの利益のため、抵当権を放棄した場合、Bの受ける配当は1000万円である。
4、BがDの利益のため、抵当権の順位を放棄した場合、Bの受ける配当は1000万円である。



建太郎「むむっ……。これは数学の問題だよな。要するに、具体的な額を計算しろというわけだ。ええっと、電卓は?」
胡桃「簿記でもあるまいし電卓なんて持ち込めるわけないでしょ。小学生でも暗算できる算数の問題よ!」
建太郎「まじか!電卓使えないのかよ!」
胡桃「当然じゃない。宅建試験で電卓が使えると思っていたの?」
建太郎「だって、法令上の制限で出てくる建築基準法とか、容積率とか建ぺい率の計算問題もあるじゃん。それに税金の問題もあったような気がする」
胡桃「それでも、電卓を使って計算しなければならないほどの問題は出ないわ。算数レベルの出題なのよ」胡桃「まず、売却代金5400万円を配当する場合、BCDEの取り分はどうなるか分かるかしら?」
建太郎「一番抵当権から順番に配当していくんだろ。つまり、
Bが2000万円
Cが2400万円
Dが1000万円
Eは0円
ということになるな。というか、こんな抵当権は現実にあり得ないよな。とりわけ、Dが回収の見込みもないのに、4000万円の抵当権を設定するなんて、他によほどの担保がない限りありえない」
胡桃「そうね。現実にはあり得なくても、試験問題では、こういう事例が問われるのよ。ちなみに、債権には必ず、利息が伴うわね。設問では利息が書かれていないけど、利息が付いている場合はどうなるか分かるわね?」
建太郎「ええっと……。抵当権で担保されるのは、最後の二年分じゃなかったっけ」

(抵当権の被担保債権の範囲)
第三百七十五条  抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
2  前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。

胡桃「その通りよ。この問題では問われていないけど、確認しておいてよね」
建太郎「OK」
胡桃「次に、設問で問われているように抵当権を譲渡したり放棄することが可能なのはどの条文によるのかしら?」
建太郎「次の条文だね」

(抵当権の処分)
第三百七十六条  抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
2  前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。

胡桃「そうね。第三百七十六条の条文が根拠条文だわ。第三百七十六条には、抵当権の譲渡、放棄。抵当権の順位の譲渡、放棄が示されているのは分かるわね?」
建太郎「OK。具体的にどういう配当になるのかを問うのかこの問題だよな」
胡桃「そうよ。というわけで、1から見ていくわよ」
建太郎「1は、抵当権の譲渡だね。抵当権の譲渡というくらいだから、抵当権者が抵当権を有していない一般債権者に対して、抵当権を譲渡することを意味する。抵当権が譲渡されると、譲渡した人が本来受け取れる配当の範囲で、譲り受けた人が、優先弁済を受けられるんだよな」
胡桃「そうね。1の事例では具体的にどうなるのかしら?」
建太郎「Bが本来受け取れるのは2000万円。この額の範囲で、Eが優先弁済を受けるわけだから、
Eは2000万円。Bは0円ということになるな」
胡桃「次、2の事例はどうかしら?」
建太郎「抵当権の順位を譲渡した場合だよな。順位の譲渡だから、抵当権者同士の間で、順位を譲渡することになる。設問の場合、BとDの順序が入れ替わるんだよな。ただ、配当額は、BとDが本来受け取れる額に限られる」
胡桃「具体的にどうなるかしら?」
建太郎「BとDが本来受け取れる額は、Bが2000万円、Dが1000万円だから、合計3000万円。この額から、まず、Dが優先弁済を受ける。すると……、
Dは、債権額4000万円のうち、3000万円だけ優先弁済を受けて、残債権が1000万円になる。
一方で、Bは全く配当を受けられないことになるんだよな」
胡桃「その通りよ。3はどうかしら?」
建太郎「抵当権を放棄した場合だな。つまり、債権額の割合に応じて、弁済を受けることになるんだよな。
設問の場合、一番抵当権(債権額2000万円)を有しているBが債権者E(債権額2000万円)のために放棄する。債権額の割合は1:1だから、Bが本来受け取れる配当金をEと等しく分けることになる」
胡桃「具体的には?」
建太郎「Bが受け取れる2000万円を半分っこするわけだから、Bが1000万円、Eも1000万円ということになるな」
胡桃「そうね。ちなみに抵当権の放棄は、抵当権者が抵当権を有していない一般債権者に対してするものだということは分かるわね?」
建太郎「OK」
胡桃「最後に4はどうかしら?」
建太郎「抵当権の順位を放棄した場合だな。抵当権者同士の間で、順位を放棄する。放棄した抵当権者と放棄された抵当権者が、本来、受け取れる配当額から、債権額の割合に応じて分配を受けることになるわけだ」
胡桃「そうね。具体的には?」
建太郎「本来は、Bが2000万円、Dが1000万円の配当を受けられる。この債権額の合計3000万円について、債権額の割合に応じて分配するわけだな。すると、
Bが債権額2000万円、Dが債権額4000万円だから、ちょうど、1:2の割合になる。つまり、
Bが1000万円
Dが2000万円
の弁済を受けることになるわけだな」
胡桃「正解よ。計算が必要にしても、算数レベルだったでしょ?」
建太郎「数字を見た時は、うわっ……ってなっちゃったけど、実際にやってみると、簡単だったな」
胡桃「この手の問題はまた出される可能性があるから、計算できるようにしておいてわね」
建太郎「OK」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「2だね」



宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




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宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係・法令上の制限編 4  暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 法令上の制限編 5  暗記カード式法律問題集


□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。

posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:27| 宅建士試験過去問