2020年03月16日

宅建士試験過去問 権利関係 抵当権消滅請求 2−33 平成21年

民法379条は、「抵当不動産の第三取得者は第383条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる」と定めている。これに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1、抵当権の被担保債権につき、保証人となっている者は、抵当不動産を買い受けて第三取得者になれば、抵当権消滅請求をすることができる。
2、抵当不動産の第三取得者は、当該抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生した後でも、売却の許可の決定が確定するまでは、抵当権の消滅請求をすることができる。
3、抵当不動産の第三取得者が抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に、民法第383条所定の書面を送付すれば足り、その送付書面につき、事前に裁判所の許可を受ける必要はない。
4、抵当不動産の第三取得者から抵当権消滅請求にかかる民法第383条所定の書面の送付を受けた抵当権者が、同書面の送付を受けた後二か月以内に、承諾できない旨を確定日付ある書面にて第三取得者に通知すれば、同請求に基づく抵当権消滅の効果は生じない。



胡桃「これは何の問題か分かるわね?」
建太郎「抵当権消滅請求に関する問題だよな。条文が書かれているのかな。ラッキーと思ったら、肝心の内容が問題文に書かれていないし……」
胡桃「当然でしょ。この問題は判例の知識を問う問題ではないわ。条文そのままの出題よ」
胡桃「まず、民法379条と383条を確認しておくわよ」

(抵当権消滅請求)
第三百七十九条  抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。

(抵当権消滅請求の手続)
第三百八十三条  抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。
一  取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面
二  抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)
三  債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面

胡桃「抵当権消滅請求が何のための制度かは分かっているわね?」
建太郎「つまり、抵当権が設定されている不動産を取得した第三者が、抵当権を消滅させるための制度だろ」
胡桃「そうよ。第三者のための制度であるということね。だから、第三者以外の者が抵当権消滅請求をすることはできないわ。例えば、債務者や保証人が行使する権利ではない。というのは分かるわね?」
建太郎「条文にもこうあるよな」

第三百八十条  主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。

胡桃「それが分かれば、選択肢1の正誤は判断できるわね」
建太郎「OK」
胡桃「それから、抵当権消滅請求は、第三取得者が自主的に行使する権利だというのは分かるわね?」
建太郎「うん。誰かが、第三取得者に、あなたは、抵当権消滅請求を行使することができますよ。と教えてくれるわけではないんだよな。例えば、裁判所が関与するわけではない」
胡桃「そうね。第三百八十三条に、抵当権消滅請求の手続について、ざっと書かれているわけだけど、裁判所が関与するというようなことは書かれていないわ。条文を読めば、選択肢3の正誤が分かるわよね」
建太郎「OK」
胡桃「次に、抵当権消滅請求はいつまでできるのかということね。選択肢2よ。どう考えるべきかしら?」
建太郎「第三百八十三条にあるように、抵当権消滅請求というのは、第三取得者が私的に行使する権利に過ぎない。つまり、裁判所が関与する公的な権利ではない。それに対して、抵当権の実行としての競売による差押えは、裁判所が関与する公的な手続きだよな。公的な手続きが行われている時に、抵当権消滅請求ができるというのはおかしいよな」
胡桃「そうね。そう考えれば、抵当権消滅請求は、差押えが為される前にしなければならないというのが分かるわね。条文にもこうあるわ」

(抵当権消滅請求の時期)
第三百八十二条  抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。

胡桃「ちなみに、競売による差押えの効力が発生してしまうと、第三取得者としては、観念するしかないのかしら?」
建太郎「いや。そんなことはないよな。第三取得者も競売に参加することができるんじゃないかな?」
胡桃「そうね。条文にもこう書かれているわ」

(抵当不動産の第三取得者による買受け)
第三百九十条  抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。

胡桃「最後に、選択肢4はどうかしら?」
建太郎「第三取得者が抵当権消滅請求の権利を有しているのに対して、抵当権者も何らかの権利を持っていてしかるべきだよな。第三取得者のいいなりになるしかないとすればおかしい」
胡桃「そうよね。具体的にはどんな権利かしら?」
建太郎「第三取得者の抵当権消滅請求に対して納得できなければ、競売の申立をするのが筋なんじゃないかな?」
胡桃「その通りだわ。建太郎にしては、頭の回転がいいじゃない」

(債権者のみなし承諾)
第三百八十四条  次に掲げる場合には、前条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、抵当不動産の第三取得者が同条第三号に掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価又は金額を承諾したものとみなす。
一  その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。
二  その債権者が前号の申立てを取り下げたとき。
三  第一号の申立てを却下する旨の決定が確定したとき。
四  第一号の申立てに基づく競売の手続を取り消す旨の決定(民事執行法第百八十八条 において準用する同法第六十三条第三項 若しくは第六十八条の三第三項 の規定又は同法第百八十三条第一項第五号 の謄本が提出された場合における同条第二項 の規定による決定を除く。)が確定したとき。

(競売の申立ての通知)
第三百八十五条  第三百八十三条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、前条第一号の申立てをするときは、同号の期間内に、債務者及び抵当不動産の譲渡人にその旨を通知しなければならない。

胡桃「つまり、第三取得者が示した額に納得できなければ、二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをするべしということね」
建太郎「OK」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「3だね」
胡桃「ちなみに、抵当権は、一つだけとは限らないわ。一番抵当権、二番抵当権と複数の抵当権が設定されている場合もある。そんなときは、誰が納得すれば、抵当権消滅請求の効力が生じるのかしら?」
建太郎「もちろん、抵当権者全員だよな。民法にもこうある」

(抵当権消滅請求の効果)
第三百八十六条  登記をしたすべての債権者が抵当不動産の第三取得者の提供した代価又は金額を承諾し、かつ、抵当不動産の第三取得者がその承諾を得た代価又は金額を払い渡し又は供託したときは、抵当権は、消滅する。

胡桃「それから、競売の申立以外の方法で、抵当権を消滅させる方法は、抵当権消滅請求の他にもう一つあったわよね?何か分かるかしら?」
建太郎「あっ。抵当権者から、代価を支払えば抵当権を抹消してやるよと申し出る制度だよな。代価弁済だっけ?」
胡桃「そうよ。次の条文ね」

(代価弁済)
第三百七十八条  抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。

建太郎「つまり、抵当権消滅請求は、第三取得者から申し出る制度。代価弁済は抵当権者から抵当権の消滅を申し出る制度だということだよな」
胡桃「そうよ。二つの制度の違いを覚えておいてね」




宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




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□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。




posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:54| 宅建士試験過去問