2020年03月09日

宅建士試験過去問 権利関係 抵当権 2−31 平成24年

物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、物上代位を行う担保権者は、物上代位の対象とする目的物について、その払い渡し、又は引き渡し前に差し押さえるものとする。

1、Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Bの一般債権者が差押えをした場合には、Aは、当該賃料債権に物上代位することができない。
2、Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Aが当該建物に抵当権を実行していても、当該抵当権が消滅するまでは、Aは、当該賃料債権に物上代位することができる。
3、Aの抵当権設定登記があるB所有の建物が火災によって焼失してしまった場合、Aは、当該建物に掛けられた火災保険契約に基づく、損害保険金請求権に物上代位することができる。
4、Aの抵当権設定登記があるB所有の建物について、CがBと賃貸借契約を締結したうえで、Dに転貸していた場合、Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできない。



建太郎「これは、全部判例からの出題だよな?」
胡桃「そうね。基本的な判例ばかりだから、すぐに答えが分かるわ」
建太郎「うーん。そうか?知らない選択肢もあるけど」
胡桃「その場合でも、知らないからと言ってあきらめるのではなく、考えるのよ」
(抵当権の内容)
第三百六十九条  抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2  地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

(留置権等の規定の準用)
第三百七十二条  第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。

(物上代位)
第三百四条  先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2  債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

胡桃「まず抵当権の性質から確認しておくわよ。どういう性質の担保物権かしら?」
建太郎「付従性、随伴性、不可分性、物上代位性の四つの性質を有する担保物権なんだよな。そして、物を留置する効力はなく、専ら、優先弁済を受ける有する権利にすぎないということ。そして、物上代位権を行使するためには、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。とされている」
胡桃「そうよ。建太郎にしてよく分かっているじゃない。それを踏まえたうえで、1から見ていくわよ」
建太郎「抵当権者が一般債権者に負けていたら、抵当権を設定した意味がないじゃん」
胡桃「でも、物上代位権を行使するには、差押えをしなければならないとされているのよ。1では、一般債権者が先に差押えしたと読めるわね」
建太郎「うーん。すると、抵当権者の方が負けるのか?先に差し押さえた方が優先するのが当然なのか?」
胡桃「実は、この点について、判例があるのよ。『一般債権者の差し押さえと、抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合は、両者の優劣は、一般債権者の申立による差し押さえ命令の第三債務者への送達と、抵当権設定登記の前後による』としているのよ」
建太郎「ということは、抵当権者は、先に抵当権設定登記をしておけば、一般債権者に勝てるわけだ?」
胡桃「そうよ。重要な判例だから、そのまま覚えてよね」
建太郎「OK」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「抵当権を実行した後も、競売が終わるまでは、賃借人は建物を使用し続けることができるんだよな?」
胡桃「そうよ。見たことないかもしれないけど、民事執行法にこうあるわ」

民事執行法
(差押えの効力)
第四十六条  差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずる。ただし、差押えの登記がその開始決定の送達前にされたときは、登記がされた時に生ずる。
2  差押えは、債務者が通常の用法に従つて不動産を使用し、又は収益することを妨げない。

胡桃「2項よ。『差押えは、債務者が通常の用法に従つて不動産を使用し、又は収益することを妨げない。』となっているでしょ。差押えをした段階では、賃借人はまだ、居座り続けることができるし、当然、賃料も支払うのよ」
建太郎「ということは、その賃料に対して、抵当権者が物上代位するのは何らの問題もないよな?」
胡桃「そうね。判例も、抵当権設定登記がある建物の賃料債権につき、抵当権を実行しても消滅するまでは、当該賃料債権に物上代位することができるとしているわ」
建太郎「ということは2は正しいわけだな」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「物上代位権を行使できる典型的な事例だよな。抵当権者は、火災保険契約に基づく、損害保険金請求権に物上代位することができる」
胡桃「その通りよ。4はどうかしら?」
建太郎「転貸人Cの転借人Dに対する転貸賃料債権に対して物上代位できるとしたら、転貸人Cの権利が害されることになるよな。もしかしたら、転貸人Cは、転借人Dからの債権と転貸賃料債権を相殺しようとしているかもしれないし」
胡桃「そうね。設問を見る限りでは、転貸人CはAの債務者ではないようだし、転貸人Cの債権に物上代位するのはおかしいよね。判例も、原則として、転貸賃料債権に対して物上代位することはできないとしているわ。ただ、例外もあって、当該抵当不動産の所有者Bと転貸人Cを同視しうる場合は、物上代位が可能としているわ」
建太郎「やっぱりこれも判例だったんだな」
胡桃「有名な判例だから、押さえておいてよね。というわけで答えは?」
建太郎「1だね」


宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




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□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。

posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 20:09| 宅建士試験過去問