2020年01月06日

宅建士試験過去問 権利関係 債務不履行 2−20 平成24年

債務不履行に基づく損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1、AがBとの契約を締結する前に、信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報をBに提供しなかった場合、Bが契約を締結したことにより被った損害につき、Aは、不法行為による損害賠償責任を負うことはあっても、債務不履行による損害賠償責任を負うことはない。
2、AB間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、借主Bが債務不履行に陥ったことにより、AがBに対して請求することができる遅延損害金は、年五分の利率により算出する。
3、AB間でB所有の甲不動産の売買契約を締結した後、Bが甲不動産をCに二重譲渡してCが登記を具備した場合、AはBに対して、債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる。
4、AB間の金銭消費貸借契約において、借主Bは、当該契約に基づく金銭の返済をCからBに支払われる売掛代金で予定していたが、その入金がなかった(Bの責めに帰すべき事由はない。)ため、返済期限が経過してしまった場合、Bは債務不履行には陥らず、Aに対して遅延損害金の支払い義務を負わない。



建太郎「むむっ。これはまた、新しい判例が出題されているのか?」
胡桃「かなり新しい判例もあるわね。でも、基本を理解していれば難しくないわ。まずは、1から見ていくわよ」建太郎「1がよく分からない。これは判例なのか?」
胡桃「そうよ。判例よ。判例をそのまま覚えてしまえばいいわけだけど、不法行為による損害賠償請求と債務不履行による損害賠償請求の違いが分かっていれば、判例を知らなくても、正誤は判断できるわ」
建太郎「うん?どういうこと?」
胡桃「債務不履行による損害賠償請求ってどういう場合にできるの?」
建太郎「相手方が債務を履行しない場合だろ。民法第四百十五条にはこうあるよな」

(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

胡桃「そうよ。それに対して、不法行為による損害賠償請求はどういう場合にできるの?」
建太郎「相手に法律上保護される利益を侵害された場合だよな」

(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

胡桃「この二つの条文を見比べれば、何が前提になるか、分かるでしょ?」
建太郎「あっ。そういうことか。債務不履行による損害賠償をするには、相手方と債権者債務者の関係にあることが前提なんだよな。それに対して、不法行為による損害賠償は、相手方と法律関係があるかどうかは問わない。見知らぬ人に、いきなり、物を壊された場合でも、賠償しろと求めることができるわけだよな」
胡桃「そうよ。それをふまえた上で、1の問題文を読んでみて」
建太郎「AがBとの契約を締結する前に……。あっ、契約を締結する前であれば、まだ、債権者債務者の関係にはないから、債務不履行による損害賠償はできないということか?」
胡桃「そうよ。それだけの話なのよ。とりあえず、1の事例は判例だから押さえておいてね。次、2はどうかしら?」
建太郎「利率が決まっていない場合は、法定利率になるんだよな」

(金銭債務の特則)
第四百十九条  金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2  前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3  第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

建太郎「法定利率は、年五分とされている」

(法定利率)
第四百四条  利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。

胡桃「そのとおりよ。3はどうかしら?」
建太郎「不動産の二重譲渡の場合は、先に登記を備えた方が優先するという話だけど、登記を備えることができなかった買主は泣き寝入りするしかないのかというとそうではない。当然、債務不履行に基づいて、損害賠償請求ができるわけだよな」
胡桃「債務不履行には三つあったわね」
建太郎「履行遅滞、履行不能、不完全履行だったな」
胡桃「不動産の二重譲渡によって、買主に登記を移転できなくなった場合は、何に該当するかしら?」
建太郎「第三者に登記を移転してしまった以上、買主には、登記を移転できないわけだから、履行不能だね」
胡桃「正解よ。判例も不動産の二重売買の事例では、売主の一方の買主に対する債務は特段の事情のない限り、他の買主に対する所有権移転登記が完了した時点で履行不能に陥るとしているわ。この点も押さえておいてね」
建太郎「OK」
胡桃「次、4はどうかしら?」
建太郎「Cから入金がないから、Aに支払えないって、Aにとっては関係ないことだよな。Bとしては、Cから入金がなければ、自腹を切ってでも、Aに返済するべきなんじゃないの?」
胡桃「そうね。常識で考えてもこの選択肢がおかしいのは分かるわね。とりあえず、こういう事例をなんと言うか分かるかしら?」
建太郎「えっ?何か意味あるの?」
胡桃「カッコ書きを読んでみて」
建太郎「(Bの責めに帰すべき事由はない。)」
胡桃「債務者の責めに帰すべき事由なくして債務不履行に陥ることをなんと言うかしら?」
建太郎「もしかして、不可抗力か?」
胡桃「そうよ。不可抗力というと、災害にあって、弁済しに行くことができない場合をイメージするかもしれないけど、設問のような事例も不可抗力なのよね。不可抗力となると何が問題になるか分かるわね?」
建太郎「第四百十九条3項か。金銭債務について、債務不履行に陥った場合、その賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。と」
胡桃「そうよ。というわけで、答えはどれかしら?」
建太郎「4だね」




宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




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□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。
posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:48| 宅建士試験過去問