2019年12月26日

宅建士試験過去問 権利関係 債務不履行 2−19 平成26年

次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。

1、賃借人の債務不履行を理由に賃貸人が不動産の賃貸借契約を解除するには、信頼関係が破壊されていなければならない旨。
2、当事者は債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる旨
3、債務の履行のために債務者が使用する者の故意または過失は、債務者の責めに帰すべき事由に含まれている旨。
4、債務不履行によって生じた特別の損害のうち、債務者が、債務不履行時に予見し、又は予見することができた損害のみが、賠償範囲に含まれる旨。



建太郎「なんか変わったタイプの出題形式だな」
胡桃「最近、増えているタイプの出題だわ。こういう出題形式が個数問題で出されると、一気に正答率が低くなるのよ。すべての選択肢について正誤を判断できなければならないからね。とりあえず、この問題は、規定があるのはどれかを問うだけだから、簡単だわね」
胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「こんな規定はないよな?」
胡桃「ないわ。でも、この趣旨の文章を目にしたことはないかしら?」
建太郎「うーん。どこかで見たことがあるような」
胡桃「次の条文を見れば思い出すかしら?」

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第六百十二条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

建太郎「無断転貸があると賃貸人は、契約の解除ができるけど、信頼関係が破壊されているとは言えない場合は、解除権が制限されるんだっけ?」
胡桃「そうよ。一般的には、信頼関係法理と呼ばれているわ。判例だから、覚えておいてね。2はどうかしら?」
建太郎「これは民法に規定があるよな」

(賠償額の予定)
第四百二十条  当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
2  賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3  違約金は、賠償額の予定と推定する。

胡桃「そうね。条文そのままだわ。3はどうかしら?」
建太郎「こんな規定はないよな?」
胡桃「ないわ。ちなみに債務不履行に関する規定は次の通りね」

(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

胡桃「ここで留意したいことが、『債務者の責めに帰すべき事由』というのは、債務者の故意、過失はもちろんのこと、信義則上これと同視すべき事由も含むとされている点ね」
建太郎「うん?どういうこと?」
胡桃「つまり、選択肢3にあるように、債務者が使用する者の故意または過失も含むというのが判例なのよ。とりあえず、そういう判例があるということを押さえておけばいいわ。これ以上突っ込んだら、司法試験レベルになるわ」
建太郎「なんで宅建試験で司法試験レベルの問題をやらなきゃいけないんだ!」
胡桃「判例自体は覚えておいても損はないわよ。4はどうかしら?」
建太郎「やはり、こんな規定はない」
胡桃「んっ?次の条文をよく読んでみて」

(損害賠償の範囲)
第四百十六条  債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2  特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

建太郎「げっ。2項か。こんな規定があったのか?」
胡桃「もちろんよ。ただ、条文を忠実に読めば、『当事者が』となっていて、『債務者が』とはされていないわ」
建太郎「じゃあ、規定はなしでいいんだな。当事者ということは債務者だけでなく債権者も含むわけだ?」
胡桃「実はそうじゃないのよ。条文では、『当事者が』となっているけど、判例は、『債務者が』と解釈するべきだとしているわ」
建太郎「そんな話、初耳なんだけど?」
胡桃「これも司法試験レベルの問題だわ。尤も、正答が条文そのままの出題だから、答えを見つけること自体は難しくないわね。どれが答えかしら?」
建太郎「2だね。しかし、司法試験レベルの選択肢も出ているからには、民法に関しては相当勉強しなければならないってことだな?司法試験用のテキストや問題集も使うべきなんじゃないかな?」
胡桃「そう考えるのは、誤りよ」
建太郎「えっ?そうなの?」
胡桃「宅建試験で民法の占める割合は、それほど多くないわ。メインの科目ではあるけどね。むしろ、宅建業法の方が多く出題されていることは分かるわよね。民法だけ深く勉強しても合格できないわ」
建太郎「ああ。そうだな」
胡桃「確かに、司法試験レベルの選択肢が出てくることもあるけど、この問題だって、宅建のテキストに載っている基本事項さえ、押さえていれば解ける問題だわ。だから、宅建合格のために、司法試験用のテキストや問題集に手を出すのは、賢いやり方とは言えないわ。そんなことをする暇があったら、民法の条文を丸暗記した方がいいわ」
建太郎「基本を押さえるべきだということだね」
胡桃「そうよ。まずは、条文に目を通して、宅建のテキストに出てくる判例を押さえる。それだけで、宅建の民法は満点を取れるわよ」





宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 1 暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 2 暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 3 暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係・法令上の制限編 4  暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 法令上の制限編 5  暗記カード式法律問題集


□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。
posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:59| 宅建士試験過去問