2019年12月25日

宅建士試験過去問 権利関係 委任 2−18 平成18年

民法上の委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1、委任契約は、委任者又は受任者のいずれからもいつでもその解除をすることができる。ただし、相手方に不利な時期に委任契約を解除した時は、相手方に対して、損害賠償責任を負う場合がある。
2、委任者が破産手続き開始の決定を受けた場合、委任契約は終了する。
3、委任契約が委任者の死亡により、終了した場合、受任者は、委任者の相続人から終了についての承諾を得る時まで、委任事務を処理する義務を負う。
4、委任契約の終了事由は、これを相手方に通知した時、又は相手方がこれを知っていた時でなければ、相手方に対抗することができず、その時まで当事者は委任契約上の義務を負う。



建太郎「んっ?この問題って、判例も混じっている?」
胡桃「判例なんて混じっていないわ。すべて条文レベルの出題よ」
建太郎「えっ?そうなんだ?」
胡桃「条文をしっかり読み込んでいれば、条文の文言通りの出題だとすぐに気づくわよ」胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「委任契約は、委任者、受任者のいずれからも解除することができるんだよな」

(委任の解除)
第六百五十一条  委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2  当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

建太郎「ただ、『当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。』とされている」
胡桃「そうね。それと比較しておきたいのが、請負契約ね。請負契約を解除できるのは誰かしら?」
建太郎「請負の場合は、注文者しか解除できないんだよな。原則として、請負人からの解除は認められていない」

(注文者による契約の解除)
第六百四十一条  請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

建太郎「ちなみに、請負人から契約解除ができるのは、一般的な債務不履行の場合の他は、注文者が破産した場合だけなんだよな」

(注文者についての破産手続の開始による解除)
第六百四十二条  注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。
2  前項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。

胡桃「次、2はどうかしら?」
建太郎「委任の終了事由の条文にある通りだよな」

(委任の終了事由)
第六百五十三条  委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一  委任者又は受任者の死亡
二  委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三  受任者が後見開始の審判を受けたこと。

建太郎「委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたことは委任の終了事由とされている」
胡桃「そうね。委任の終了事由で注意したいのが三号ね」
建太郎「ああ。委任者が後見開始の審判を受けたこと。は委任の終了事由ではないという点だよな」
胡桃「分かっているみたいね。3はどうかしら?」
建太郎「こんな規定は民法にないよな?判例なのか?」
胡桃「違うわ。判例でもないわ。第六百五十三条にある通り、委任者又は受任者の死亡によって、委任は当然に終了するのよ」
建太郎「なんだ。判例じゃないのか。深く考えすぎて損したよ」
胡桃「ただ、やむを得ない場合は、受任者が死後事務を行わなければならないこともあるわ。次の規定よ」

(委任の終了後の処分)
第六百五十四条  委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。

建太郎「『急迫の事情があるときは』だね」
胡桃「そうよ。この場合でも、委任の終了について承諾を得るまでは、とはされていないわ」
建太郎「じゃあ、当然に終了するでいいんだね」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「委任の終了の対抗要件?対抗要件と言ったら民法177条だろ?こんな規定あったっけ?」
胡桃「あるわ。条文を読み込んでいれば、条文そのままの出題だと分かるはずよ」

(委任の終了の対抗要件)
第六百五十五条  委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。

胡桃「委任は、仕事完成義務がないという点は分かるわよね?」
建太郎「ああ。請負契約との大きな違いの一つだよな」

(請負)
第六百三十二条  請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

(委任)
第六百四十三条  委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

建太郎「法律行為をすることを相手方に委託するだけで、完遂することまでは求めない契約なんだよな」
胡桃「そうよ。だから、ほど良いところで切り上げなければならないこともあるのよ。例えば、私が建太郎に、私の持っているマンションの部屋を買ってくれる人を探すよう委託したとする。だけど、建太郎が買主を探し出せるとは限らないわ」
建太郎「うん。そりゃそうだな」
胡桃「そんな時、私が、一方的に委任契約を解除して、建太郎に知らせなかった。一方、建太郎が、私が解除した後で、買主を見つけてきたとする。でも、委任契約は解除したんだから、建太郎が見つけてきた人なんて知らないわと私が言ったらどう思う?」
建太郎「そんな!身勝手すぎる!」
胡桃「そうでしょ。だから、委任の終了を通知するか、相手方が知る時までは、当事者は委任契約上の権利義務に拘束されるということよ」
建太郎「なるほど。そう考えれば、当然の規定だと分かるな」
胡桃「というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「3だね」





宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 1 暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 2 暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 3 暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係・法令上の制限編 4  暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 法令上の制限編 5  暗記カード式法律問題集


□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。
posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 19:40| 宅建士試験過去問