2019年12月24日

宅建士試験過去問 権利関係 瑕疵担保 2−17 平成26年

Aは、Bに建物の建築を注文し、完成して引き渡しを受けた建物をCに対して売却した。本件建物に瑕疵があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1、Cは、売買契約締結の当時、本件建物に瑕疵があることを知っていた場合でも、瑕疵の存在を知ってから一年以内であれば、Aに対して、売買契約に基づく瑕疵担保責任を追及することができる。
2、Bが建物としての基本的な安全性に欠けることがないように配慮すべき義務を怠ったために、本件建物に基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合は、当該瑕疵によって損害を被ったCは、特段の事情がない限り、Bに対して不法行為責任に基づく損害賠償を請求できる。
3、CがBに対して本件建物の瑕疵に関して不法行為責任に基づく損害賠償を請求する場合、当該請求ができる期間は、Cが瑕疵の存在に気づいてから、一年以内である。
4、本件建物に存在している瑕疵のために、請負契約を締結した目的を達成することができない場合、AはBとの契約を一方的に解除することができる。



建太郎「なんだこの問題は!瑕疵担保責任の問題かと思ったら、不法行為責任について問う選択肢も混じっているじゃないか」
胡桃「瑕疵担保責任を追及できる場合は、併せて、不法行為責任を追及できる場合も少なくないのよ。この二つが混在する問題があっても驚くことではないわ」
建太郎「しかも、瑕疵担保責任にしても売買と請負契約が混在しているし」
胡桃「これも不動産業界では普通のことじゃない。建売住宅は設問のような流れで、取引されるのが一般的でしょ。というわけで1から見ていくわよ」建太郎「売主の瑕疵担保責任を追及する場合の問題だよな。まず、条文から」

(売主の瑕疵担保責任)
第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

建太郎「『売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは』とある。隠れた瑕疵というのは、普通の人が注意してみても発見できないような瑕疵という意味。だから、買主は瑕疵の存在について、知らない――善意無過失でなければ、売主に対して、瑕疵担保責任を追及することができないんだよな」
胡桃「その通りよ。2はどうかしら?」
建太郎「不法行為責任の問題だよな」

(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

建太郎「請負人が建物としての基本的な安全性に欠けることがないように配慮すべき義務を怠ったことによって、損害が生じたのならば、過失があったということだよな。だから、損害を被った買主は、不法行為責任を追及できると?」
胡桃「そうよ。建物としての基本的な安全性に欠けることがないように配慮すべき義務のことを安全配慮義務と呼んでいるわ。一般的には、労働関係における安全配慮義務として、労働契約法に定めがあるけど、設問のような事例でも考慮すべきなのよね。安全配慮義務に関しては、深く勉強したら、キリがないから、とりあえず、宅建試験的には、これを欠いた場合は不法行為責任を追及することができると覚えておけばいいわ」
建太郎「OK」
胡桃「次、3はどうかしら?」
建太郎「めちゃくちゃな選択肢だよな。瑕疵担保責任を追及できる期間と、不法行為責任を追及できる期間を混在させたんだな」
胡桃「そうね。ひとまず、条文をチェックして整理しておくわよ」
建太郎「ええっと、不法行為に関しては……」

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

建太郎「損害及び加害者を知った時から三年間だね。それに対して、瑕疵担保責任は、第五百六十六条3項にある通り、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。とされている」
胡桃「そうよ。混乱しないようにね。4はどうかしら?」
建太郎「建物の請負契約は、解除することができないんだよな」

第六百三十五条  仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

胡桃「何度も出てくる条文だわ。いい加減、暗記したわよね。というわけで答えは?」
建太郎「2だね」


宅建士試験の合否は過去問以外の問題をどれだけ解いたかで決まる!


□ 過去問だけでは合格できない

宅建士試験では、過去問を制覇すれば、本試験でも6割の得点は固いでしょう。
しかし、宅建士試験に合格するためには、最低でも7割以上の得点が必要で、確実に合格したければ、8割は得点できるようにしたいところです。
過去問だけでは補いきれない1割から2割については、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けること、テキストを繰り返し読むことによって、カバーできます。

しかし、資格スクールの模擬試験を片っ端から受けるのは、費用が掛かりますし、本試験間際になってから、駆け足で開催されることが多く、普段からじっくり勉強できないですよね。
テキストを繰り返し読むことでも、過去問の穴を埋めることもできますが、やはり、テキストを読んでいるだけ(インプット)だけでは、完璧ではなく、実際に問題を解く(アウトプット)ことも必須です。

最近の試験では、単に暗記していれば解ける問題は少なく、暗記した条文、判例をもとに事例問題を解く形の出題が増えています。
公式を覚えるだけでなく、問題演習が必須の数学に似ているといえます。

すると、どれだけたくさんの問題を解いたかによって宅建士試験の合否が決まるといっても過言ではありません。

そして、過去問は、受験生なら誰でも解いています。
そこから一歩抜け出て合格をつかむためには、過去問以外の問題をどれだけ解いたかが、ポイントになるのです。




宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 1 暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 2 暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係編 3 暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 権利関係・法令上の制限編 4  暗記カード式法律問題集

宅建士試験肢別100問ドリル オリジナル問題集 法令上の制限編 5  暗記カード式法律問題集


□ 本シリーズの特長

過去問よりも少しレベルが高めの問題を掲載しています。

すべての問題に詳細な解説を付して、何を覚えるべきなのか、注目すべきポイントを明確に示しています。

解説をしっかりお読みいただくことによって、過去問+αのαの知識を総整理することができます。

さらに、肢別形式になっていることも特長です。
スマホ等で隙間時間にチェックするのに最適な文章量なので、暗記カード的にご利用いただくこともできます。

posted by 宅建士試験ラノベ化プロジェクトチーム at 20:46| 宅建士試験過去問