2019年08月05日

宅建士試験過去問 権利関係 贈与 2−12 平成21年 #宅建

Aは、生活の面倒をみてくれている甥のBに自分が居住している甲建物を贈与しようと考えている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。




1、AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が書面によってなされた場合、Aは、その履行前であれば、贈与を撤回することができる。

2、AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が書面によらないでなされた場合、Aが履行するのは自由であるが、その贈与契約は法的な効力を生じない。

3、AがBに対し、Aの生活の面倒を見ることという負担を課して、甲建物を書面によって贈与した場合、甲建物の瑕疵については、Aはその負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。

4、AがBに対し、Aの生活の面倒を見ることという負担を課して、甲建物を書面によって贈与した場合、Bがその負担をその本旨に従って、履行しない時でも、Aはその贈与契約を解除することはできない。







胡桃「これも条文レベルの基本的な問題だわね。何を問う問題かは分かるわね?」

建太郎「贈与の問題だよな。書面による贈与、負担付贈与、贈与契約の担保責任について問う問題だね」

胡桃「そうね。問題文を一読しただけで瞬間的に正答を見つけられるようにすべきよ。まず、1から」
建太郎「書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができるけど、書面による贈与は撤回できるという趣旨の条文はないよな」




(書面によらない贈与の撤回)

第五百五十条  書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。




胡桃「どうして書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができるのかしら?」

建太郎「贈与契約は無償の契約だから、当事者を契約で強く拘束するのは妥当ではないからだろうな。書面によらない贈与契約はなおさらだ。だけど書面化されれば、当事者の意思は明確になるから、撤回はできない」

胡桃「そうね。2はどうかしら?」

建太郎「贈与契約は書面化しようとしまいと、法的効力は生じているよな?」

胡桃「どうしてかしら?根拠を示してくれるかしら?」

建太郎「根拠……?条文を示せということか。ええっと……」




(贈与)

第五百四十九条  贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。




建太郎「この条文が根拠だな。贈与は無償契約で、片務契約で、当事者の意思表示だけで成立する諾成契約である。諾成契約だから、書面がなくても、契約は有効だ」

胡桃「そうよ。民法の問題を考える時は、必ず根拠条文を思い浮かべなければだめよ。3はどうかしら?」

建太郎「負担付贈与は、売買契約みたいに双務契約類似の関係になるから、贈与者にも、売主同様に担保責任を負わせるべきだよな。条文は次の通り」




(贈与者の担保責任)

第五百五十一条  贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。

2  負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。




胡桃「2項ね。ついでに、1項の但書も押さえておいてね。贈与者は、原則として担保責任を負わないけど、『その瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。 』という点ね」

建太郎「OK」

胡桃「4はどうかしら?」

建太郎「負担付贈与は、双務契約類似の関係になるんだよな。だから、受贈者が負担を履行しない場合は、債務不履行を理由に契約解除するのを認めてもいいんじゃないか?」




(負担付贈与)

第五百五十三条  負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。




胡桃「そうね。とりあえず、これは、判例よ。選択肢4のような事例では、履行遅滞を理由に贈与契約を解除することができるとしているわ」




(履行遅滞等による解除権)

第五百四十一条  当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。




胡桃「というわけで、答えはどれかしら?」

建太郎「3だね」



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