2019年07月31日

宅建士試験過去問 権利関係 売主の担保責任 2−10 平成21年

Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。




1、A所有の甲土地にAが気づかなかった瑕疵があり、その瑕疵については、Bも瑕疵であることに気づいておらず、かつ、気づかなかったことにつき、過失がないような場合は、Aは、瑕疵担保責任を負う必要はない。

2、BがAに解約手付を交付している場合、Aが契約の履行に着手していない場合であっても、Bが自ら履行に着手していれば、Bは手付を放棄して売買契約を解除することができない。

3、甲土地がAの所有地ではなく、他人の所有地であった場合には、AB間の売買契約は無効である。

4、A所有の甲土地に抵当権の登記があり、Bが当該土地の抵当権消滅請求をした場合は、Bは当該請求の手続きが終わるまで、Aに対して売買代金の支払いを拒むことができる。







胡桃「これも条文レベルの出題だわ。何の問題かは分かるわね?」

建太郎「売主の担保責任に関する規定だよな」

胡桃「そうね。まず、1から見ていくわよ」
建太郎「1は基本中の基本だよな。売主の瑕疵担保責任は無過失責任である」




(売主の瑕疵担保責任)

第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。




※(地上権等がある場合等における売主の担保責任)

第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。

3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。




建太郎「売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、売主は、故意、過失がなくても責任を負うんだよな」

胡桃「2はどうかしら?」

建太郎「手付が交付された場合、売主Aは手付の倍返し、買主Bは手付の放棄によって契約解除ができるんだよな」




(手付)

第五百五十七条  買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。

2  第五百四十五条第三項の規定は、前項の場合には、適用しない。




建太郎「そして、当事者の一方というのは、相手方と読み変えることができる。相手方が履行に着手するまでは、自らが履行に着手していたとしても解除権を行使できるんだよな」

胡桃「そうね。これは判例だから、押さえておいてね。3はどうかしら?」

建太郎「他人物売買も有効なんだよな。他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う」




(他人の権利の売買における売主の義務)

第五百六十条  他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。




胡桃「そうね。他人物売買の場合の売主の担保責任の規定も合わせて押さえておいてね」




(他人の権利の売買における売主の担保責任)

第五百六十一条  前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。




(他人の権利の売買における善意の売主の解除権)

第五百六十二条  売主が契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償して、契約の解除をすることができる。

2  前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる。




胡桃「4はどうかしら?」

建太郎「まず、買主Bは、抵当権が設定された甲土地について、第三取得者として抵当権消滅請求ができるんだよな」




(抵当権消滅請求)

第三百七十九条  抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。




※(抵当権消滅請求の手続)

第三百八十三条  抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。

一  取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面

二  抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)

三  債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面




建太郎「抵当権消滅請求をすると買主Bは、費用を支出してその所有権を保存したわけだから、売主に対し、その費用の償還を請求することができるわけだ」




(抵当権等がある場合における売主の担保責任)

第五百六十七条  売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができる。

2  買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。

3  前二項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。




建太郎「その費用償還請求権と買主への売買代金支払い債務を相殺するために、抵当権消滅請求の手続が終わるまでは、代金の支払いを拒むことができるとされているんだよな」




(抵当権等の登記がある場合の買主による代金の支払の拒絶)

第五百七十七条  買い受けた不動産について抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる。この場合において、売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができる。

2  前項の規定は、買い受けた不動産について先取特権又は質権の登記がある場合について準用する。




胡桃「そのとおりよ。個々の条文がどうつながるのかをしっかり押さえておいてね。というわけで、答えはどれかしら?」

建太郎「4だね」



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