2019年04月08日

宅建士試験過去問 権利関係 担保責任 1−17 平成16年

宅地建物取引業者ではないAB間の売買契約における売主Aの責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば誤っているものはどれか。




1、Bは住宅建設用に土地を購入したが、都市計画法上の制約により、当該土地に建物を建築することができない場合には、そのことを知っていたBは、Aに対し、土地売主の瑕疵担保責任を追及することができない。

2、Aは、C所有の土地を自ら取得するとして、Bに売却したが、Aの責めに帰すべき事由によって、Cから所有権を取得できず、Bに所有権を移転できない場合、他人物売買であることを知っていたBはAに対して、損害賠償を請求できない。

3、Bが購入した土地の一部を第三者Dが所有していた場合、Bがそのことを知っていたとしても、BはAに対して代金減額請求をすることができる。

4、Bが敷地賃借権付き建物をAから購入したところ、敷地の欠陥により擁壁に亀裂が生じて、建物に危険が生じた場合、Bは敷地の欠陥を知らなかったとしても、Aに対し、建物売主の瑕疵担保責任を追及することはできない。




建太郎「これは難しくない……?」

胡桃「判例の知識がないと瞬時には解けない問題だわね。今まで見てきた問題と比べて、ぐんとレベルが上がったわね。でも、問われているのは基本的なことだから、確実に得点したい問題だわ。まず、1から見ていくわよ」
建太郎「瑕疵担保責任を追及する……?ちょっと待て、『都市計画法上の制約により』っていうことは物理的な瑕疵じゃなくて、権利の瑕疵だろ?瑕疵担保責任を追及するっていうのはおかしいんじゃない?」

胡桃「じゃあ、どの種類の担保責任に問われると思うの?」

建太郎「地上権等がある場合等における売主の担保責任じゃない?」

胡桃「建太郎が言いたいのは、この条文のことね?」




(地上権等がある場合等における売主の担保責任)

第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。

3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。




建太郎「そうだよ。都市計画法上の制約があるということは、地上権が設定されているようなものだろ。だから、『そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。』と考えるぺぎゃないかな」

胡桃「でも、民法の条文には、都市計画法上の制約の文言はないわよ?」

建太郎「だから、類推適用とかで対応できるんじゃないの?」

胡桃「残念ながら、そんな曖昧な解釈はできないわよ。判例では、都市計画法上の制約があった場合も、第五百七十条の『隠れた瑕疵』に当たるとしているのよ。つまり、瑕疵担保責任を追及するべしということね」




(売主の瑕疵担保責任)

第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。




建太郎「物理的な瑕疵だけでなく、法律上の瑕疵も含むんだ?」

胡桃「そうよ。かなり細かい判例だから、宅建レベルでそこまで覚える必要はないわ」

建太郎「でも、現に出題されているわけじゃん」

胡桃「選択肢1は、そんな判例の知識がなくても解けるわよ。基本中の基本じゃない。問題文をよく読んで」

建太郎「あっ……、そうか!『そのことを知っていたBは』とあるから、最初から、都市計画法上の制約があるって知っていたわけだ。それなら、担保責任を問えるわけがないよな」

胡桃「そうよ。難しい選択肢が出てきた時ほど、基本的なことに目を向けるべきなのよ。次、2はどうかしら?」

建太郎「他人物売買の売主の担保責任だよね。条文そのままの出題だね」




(他人の権利の売買における売主の義務)

第五百六十条  他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。




(他人の権利の売買における売主の担保責任)

第五百六十一条  前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。




建太郎「つまり、『契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。』ということで、この選択肢は正しいね」

胡桃「ブー。不正解よ」

建太郎「えっ?なんで?」

胡桃「他に明らかに誤っている選択肢があれば、建太郎の考えた通り、条文そのままの出題として、正解とすることができるけど、他の選択肢が全部正しい以上、この選択肢が誤りとみるしかないのよね。注目すべき点は、この一文よ。『Aの責めに帰すべき事由によって』こういう言い回しの条文を読んだことあるわよね?」

建太郎「そりゃ、もう、しょっちゅう。危険負担とか、債務不履行とか」

胡桃「そうよ。この選択肢は、債務不履行が問題になるのよ」




(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。




胡桃「この契約では、AはCから土地を取得して、Bに移転する債務を負っているわけだけど、それが、Aの責めに帰すべき事由によって出来なくなった。つまり、債務不履行に陥っているわけね。この点は分かるかしら?」

建太郎「そういえば、そうだよな」

胡桃「だからね。この場合、他人物売買の担保責任を追及することはできないけど、債務不履行による損害賠償を請求することはできる。というのが判例なのよ」

建太郎「そんな判例、初耳だ!」

胡桃「宅建のテキストには、この判例は、書かれていないかもしれないけど、債務不履行は基本よ。『Aの責めに帰すべき事由によって』この文言だけで、ピピッ!って気づかなければだめよ!」

建太郎「条文を読めということね。分かりました」

胡桃「次、3、行くわよ」

建太郎「これはさすがに条文そのままでいいよな?」




(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)

第五百六十三条  売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。

2  前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。

3  代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。




第五百六十四条  前条の規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ一年以内に行使しなければならない。




胡桃「いいわよ。代金の減額請求だけは、悪意の買主でもすることができる。ということよ。それから、第五百六十四条も忘れずにチェックしてね」

建太郎「悪意の買主は、契約の時から、一年以内に代金の減額請求をしなければならないということだね」

胡桃「そうよ。次、4はどうかしら?」

建太郎「これがよく分からないんだよな。これも、判例なの?」

胡桃「判例じゃないわ。基本を理解していれば、難しく考えなくても解ける問題よ。とりあえず、建太郎はどう考えたの?」

建太郎「敷地に欠陥があって、建物が危ないっていうんだから、隠れた瑕疵そのものじゃん。瑕疵担保責任を追及できると考えるべきだろう」

胡桃「じゃあ。こうしようか。私がAさん役。建太郎はBさんになりきってね。建太郎だったら、Bさんのような事態になったらどうする?」

建太郎「もちろん、胡桃に対して、『危ないじゃないか!』って抗議するよ」

胡桃「酷い!建物のどこに欠陥があるっていうのよ!」

建太郎「建物には欠陥はないけど、土地に欠陥があって、建物が倒れそうになっているんだよ!」

胡桃「私、土地なんて売ってないわよ!土地のことは地主さんに文句言ってよね!」

建太郎「え……?地主に?あっ……、そうか……!敷地賃借権付き建物ということは、売買の目的物は建物だけで、土地は売っていないわけだ。だから土地に欠陥があっても、建物の売主に土地についての瑕疵担保責任を問うことはできないと」

胡桃「そういうことよ。そういうわけで、答えは、2ということになるのよ」

建太郎「うーん。難しい問題だったなあ……」



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